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「運命なんて変えてやる!」文秀、玲玲、春児がそこにいる。血潮の大河降臨~雪組「蒼穹の昴」感想

人間の力で覆せない運命などない世界は、これほどまでに美しい。

 

 んか涼しくなって食べ物が美味しいなあ~と思っていたら…もう10月…(遠い目)。ということで皆様お久しぶりです。あくるでーす!「生きるのも大変な夏だよね…」ということから書き始めた花組リストの記事から…早1ヶ月でございます…(驚愕)。みなさまいかがお過ごしですか。私は芋栗南京三昧の生活です(秋、好きだ~)。

 そういえば「芋栗南京」というワードは私は若かりし頃「歌劇」のえと文で覚えた記憶があるのですが今月号もえと文ネタとして「秋といえば?」ときゅん(眞ノ宮)が問えばきわちゃんが「芋栗南京♪」と答える世界が私はとっても好きである。のわりに眼帯した黒牡丹がきゅんだと気づかずお芝居終わったけどな…(え?あのかっこいいのはりーしゃでしょ?っていう謎の決めつけ)(私、前回の「オデッセイ」でも盛大に「眞ノ宮るいわからない病」を発病してて友人にも呆れられた)

 雪組生リハビリを!!精一杯続けることを!!!ここに誓います!!!(ちゃりーん)

 さてさて、雪組観劇。なんと生は望海さんの「ワンス」以来。う…うっそやろ…!!かつて一番見ていた組であるのに、もう眞ノ宮るい(通称きゅん)すらわからない事実(※ただの怠惰)、自分でも信じられない現実とはこのこと。それでも私にとって一番「性に合う」「一番見ててしっくりくる」芝居を毎回見せてくれるのは雪組なのです。…まぁ~最近はどの組見ても「今の私にはこの組が一番かも!!」って思ってしまう天然メンヘラ状態で(笑)あんまり深くは突っ込まんといてください…。ただでさえ偏った知識にほつれがボロボロ出てきますんでね…。

 と、いうわけで!いざ華麗なる中国歴史の世界へ☆雪組公演「蒼穹の昴感想スタートです!

 

雪組 「蒼穹の昴

 

高身長、高学歴、高収入☆令和に生まれたミスターパーフェクト■文秀/彩風咲奈

 もう平成生まれの若い衆には馴染みのない言葉を連呼してしまうおばさんブログなわけなんですけど(加齢だ許せ)、かつて「3高」といった言葉が日本という国にはあってだな…ってなぜか死語の解説始めちゃうほどには咲ちゃんの素晴らしい「3高」っぷりに目を見張るわけです。

 高身長、高学歴、高収入(だと思われる)。

 この3つが揃っている男性が素晴らしいともてはやされた時代があった(そしてその3つで価値を決められてしまってた男性は気の毒極まりない…)だけどもしかーし。

 今の咲ちゃんはこれがまさにドハマリ。

 もちろん悪い意味でもバカにした意味でもない。いい意味でである。褒め言葉である。というか地でこれを行く。絵に書いたような、それこそ少女マンガに登場する憧れの近所のお兄ちゃん(=王子様)的な男性をさらっと、超かっこよく魅せてくれるわけ。もう最高。文秀が歩くだけで観客全員目がハートになるのがこの雪の蒼穹です。

 きれいな見た目(眉目秀麗←彩風咲奈のこと)

 きれいな学歴科挙を首席で卒業←音楽学校首席卒業)

 すらっと着こなすロングチャイナ服姿←足の長さが脳内処理不可

 もはや「ブラボー!!!」と諸手を挙げて大歓迎の儀式!いらっしゃいませエリート様。今だったら立派なバチェラー。咲ちゃんのことを「3高男子」と呼ぶのは、最大の褒め言葉だと私は言い切りたい。大真面目に「彩風咲奈は3高男子がハマる男役」そう言い切れることの素晴らしきことよ。

 そう、今回の彩風咲奈は全角度から見てパーフェクト・ガイ。

 いやもうなんか久々にこう…「そうか、こういうのがミスターパーフェクトっていうやつか!!!(忘れてたわ~!!)」っていうのを見せつけられた気がしてさ…いやほら…最近ギャツビーとかリストとか癖強めの人間臭い男性※言い方をマイルドにしているが続いててそれに否応なくときめいちゃったりしたもんだから、ここ2ヶ月「ハイロー」のコブラとかこの文秀見たら「そうだったそうだった、これがタカラヅカのトップだったーん!(ぺちっ)」って原点回帰、我に帰ったよ。

 いや、真顔でギャツビーから文秀までバッチコイではあるけども。(あくるさんの好みが中国の領地並に広範囲)

 なんかね~、少女マンガ脳の世界では、「近所に住んでる憧れのお兄ちゃん」って王子様のことでしょ?ってコンマ0.5秒で思ってしまうほど少女マンガの鉄板なわけです(よね?)。自分が小学生だったら高校生くらいで、自分が中学生だったら大学生で。住んでる世界が違うから、よけい倍率ドンで憧れちゃう。…っていうのをマンガで読んでいたわけなんですが(経験したかのようにマンガを語るあくるさん…)きっと文秀は、春児と玲玲にとって憧れであり、目標であり、ああやって生きたいという理想の人だったんでしょうね。

 春児はちょっとしたすれ違いからのケンカで対立する立場の世界に、そして玲玲は文秀のそばにずっといて。正直、これで咲きわ終わりなのかい!?って思うほど一緒の場面は少ないし、キスシーンはおろかロマンチックな場面も皆無なわけなんだけど(ぼーっとしてたら銃殺される世界なんで(ハッチさん)←とにかく血なまぐさい中国宮廷)でもなんか、咲きわってすごいなと思うのが言葉とかセリフとかで「そうなんだろうな」って思わせる雰囲気になるところ。セリフの言い方とか、ふたりがいるだけでいい感じ、柔らかくてふたりとも居心地がいい感じが伝わってくるんですよね。

 白太太(京三紗さん久々に見た~!私の中で三大占い師役者のひとり。もう二人は美穂圭子さんと梨花ますみさんでございます…←図らずとも両方雪組出身)「不思議な糸で結ばれている」と予言する。すぐに「私もそう思う。」って勝手な相槌横で入れますよね?「うん、その占い当たってるわ」って横から口挟むわ(←邪魔)。

 泣き止まない玲玲を田舎から連れてきて(またこのときのきわちゃんが貧乏スタイルで髪ボッサボサなのにめっちゃかわいいの…なんで…?なんでそんなにボロボロでかわいい…?)泣き止むまでずっとそばにいて抱きしめてくれてた、みたいなセリフがあって。すごいその感じが想像できるのよね。ずっとわんわん泣いてる少女玲玲の頭なでて、ただただずーっと一緒にいる。それだけで玲玲は心が休まったのだろうなって。

 そういう状況が自然に思い浮かぶのは、やっぱり咲ちゃんの包容力の賜だと思うなあ。

黙ってそばにいてくれるだけで安心する、それが彩風咲奈という男役。

 の中の咲ちゃんってやっぱり「水夏希の教え子」感があるので(笑)、正塚ワールドの薄暗い世界で生きていて常にソフト帽三揃いスーツでスタンガン小脇に持っててモーテルで寝泊まりして時々おしゃれな彼女とおしゃれに軽く遊んで…みたいなイメージなんだけど(こういうことはスラッスラ出てくる…)本来は誠実で品行方正で、純粋で途方に暮れている女の子を放っておけない優しさがある人なんだろうなって思う。

違ったことはしたくてもできなくて、でも強くガンッと言うんじゃなくて柔軟にソフトに「ああ、あなたはそうなのね、じゃあこうしていきましょうか」って感じでうまく軌道修正していって。結局彼の思った通りに、ことは収まる。それが無理なくそこにあったように、ピタリとハマる。

 きわを生で初めて見て「こりゃーいい!!」ってひざ打ったのが、単純にサイズ感!(そこかい!!)もうね、咲ちゃんがふわっと包み込むように手を回せばきわちゃんがぴたっとそこに収まるようにできてるような測ったようなサイズ感ね!配信では見てたけど、生で見るとこうもなんかぐっとくるのかと!なんともいえぬ「ぴったり~!!」感といいますか、シンデレラフィット?って素で思ったわ。サイズ感が完璧すぎて泣けてきた。

ねえ、聞いていい…?きわちゃんなんで辞めるの…?(今更だけど今まで100万回繰り返した疑問)

 私、公演後に歌劇の座談会読んでびっくりしたのが「咲ちゃんもあーさも一人っ子」という事実。えええええ!!あんだけ、あんだけ長男、次男感を出しておいてか!?役者ってやつはこええな…自分の育った環境まで変えてしまうんやな…となんかすごい感心してしまったのだけど(笑)咲ちゃんのトップを初めて生で見て、すごい「リーダーシップ」とか「引っ張る力」を感じた。

 彩風咲奈、想像以上に、かっこよくてたくましくて頼りがいのあるトップさんになってた。(いいいいい今更ーーー!!!)

 いやほんとごめんて。これ、私の更新してなかった雪組への偏見もさることながら90%あいつが起こした長期間のだめ絶対生観劇期間の問題だから。文句があるならコロナまで!(※責任転嫁) 

 咲ちゃんは私の中でずーっと、末っ子なイメージだった。水さんにどやされ(笑)(※毎回誤解を生みそうですが私、水先輩大好きです)、壮さんに突っ込まれ、早霧さんに育てられて、そして望海さんの片腕になって。どんどんかっこよくなってるのは知ってたけど、こういった「国家予算かけた大作やで!!」みたいなドーン!!バーン!!ギラギラギラ~!!とした1本物で、衣装もセットも大きくて、下手すればそれらに負けてしまう。

 でも咲ちゃんは真ん中に立っても微塵も揺るがなく、堂々としている。何が起こっても咲ちゃんがいるから大丈夫!!といった存在になっているとは思ってもいなくて。いい意味で、本当にいい意味で裏切られた。

 すごく嬉しかった。咲ちゃんの大羽根こそ見られなかったけど、やっぱり私の大好きな雪組はずっとここにある!!って思えた。だから咲ちゃん、もう2作もやって今更ですか?って言われそうだけども。

 雪組のトップになってくれてありがとう。(※世界一遅い祝辞)

 ストーリーにおいて、確かに文秀は西太后の進退のことや歴史上で大きなことを成し遂げた優秀な人物なわけだけど、この脚本上でびっくりすることを仕掛けたり大きなことをやりました!!デデン!!というような演出があるわけではない。ただ、咲ちゃんが文秀だから話が成立する。

文秀が咲ちゃんだから、玲玲は好意を持つし春児は自分も夢を叶えようと努力する。

 あの人に近づきたい。ああいう人になりたい。あの人と一緒にいたい。

 周囲をそういった純粋な気持ちにさせる文秀。原田くんが文秀は彩風咲奈にぴったり、というのが本当によくわかる。(きっと原田くん、雪組に決まったとき嬉しかっただろうな(笑)だからこの話は面白い。咲ちゃんが文秀だから、面白い。話にのめり込んで、この国は一体どうなるんだ…?と息を呑んで見てしまうのよね。ああこれ、歴史の巨大な渦に飲み込まれてハラハラする感じ!これが大河ドラマの醍醐味なんだよなあ!

 衣装の話なんですけどー!!もうね…本当にねぇ。有村先生にも国と阪急からボーナスを!!って毎回飽きもせず叫びたくなるいつものあれ。そう…よくも少女マンガのヒーロー(※90年代のりぼん)スタイルの(体が)薄くて長い彩風咲奈にロングチャイナ服を着せましたね…?

 褒めてつかわすぞ☆ありがとうーーーーしかもエンジ色ですーーーーー!!(号泣)(ゆりかちゃんと咲ちゃんにはもうずっとエンジとかダークグリーンとか濃紺とか着てて欲しい…ダーク色は彼女たちのための色…サンクスオータムカラー…)

 あと、言わずもがなだけどフィナーレ。フィナーレ。フィナーレだけだったらあと20回くらい見れますアタシ。(うるさい…)黒の扇に黒の着物にシアー羽織着せて男役に群舞させよっ☆って言い出したの誰ですか…?もう原田くんでも有村先生でもどっちでもいいけど(いいんかい)見た瞬間頭パーン!!ってなったんですよ。リアルに。楊先生夏美ようさん、中国歴史に必ずいるよね…)みたいに撃たれたんかな?っていう衝撃。

 …原田くん。悪いけど、フィナーレの群舞始まったとたん今までの蒼穹のストーリー全部飛んだ。もうほんとごめん。名作1幕ものにありがちな、フィナーレで全部ストーリーが飛ぶ現象、今回も例に漏れず。以下略。

 

少女から淑女へ、妹からひとりの女性へ ■玲玲/朝月希和

 ひとつだけこの「蒼穹」にクレームつけていいよ!って言われたら(※そんな提案世界の誰もしない)「玲玲のマイ・フェア・レディストーリー書き足してください!!」と原田くんにいいたい。

 ただ、蒼穹の脚本は「よくまとめたな…」っていう感嘆、「さすが優等生だけあるぜ(原田諒賞レース無敵説)」というような感想なのでねぇ~。それくらい小説原作の舞台化ものとして、よくできてる舞台だと思うんだよね。原田くんの潤色力、月組の「ピガール」花組「ナイワ」とかすごい面白いなって思ってたけど1本物でもきれいに無駄なく無理なくまとめられるのがほんとすごい。(えらそーに言ってるけど、誰?)

 ってことで玲玲です。上でもちらっと言ったけど、まー貧乏でボロボロでドロドロでもかわいい!(ほっぺにドロついてるけどそれすらかわいい朝月希和の奇跡)

 …もうやめてっていってもきわちゃんやめちゃうんで、言っちゃうけど…

 私が何にキュンとなったかって、お兄ちゃんあーさとの並び!!(バーン)(異論認めない)(※咲きわは言わずもがなです)。

 もうなんか、ふたり小さな動物みたいなんですよ。(ついでにいうとそらもファミリーの一員)。

 私の推理だとたぶんあの人達、シルバニアファミリーだと思うの。(※大真面目)

ちまちま集めたい感っていうんですか?私、基本トップコンビ厨なんでトップコンビが他の人と組んででもなんとも思わないんですけど、あーさときわちゃんに関しては「オデッセイ」…いやもっと前だ、「fff」のゲルルハルトとロールヘンから二人が並ぶだけでソワソワします。いや白状します。二人が並んで立ってるだけ「かわいい~」「かわいい~」「かわいいいいいいいいい」ってニャンニャン言ってます。ニャンニャン…?)(900円くらいで買える?)

 …でもね、それ決してふたりにトップとして組んでもらいたい、っていうわけじゃないんですよ。あくまでシルバニアです!!(バーン)(声張り上げることだろうか?)

 

 玲玲は文秀のことが憧れから好意になり、本物の恋になって二人は世界に旅立つ。ラストの船の上で洋装のふたりがぎゅっと包容を交わすのはもう涙なしには見られなかったなぁ。文秀と玲玲として描かれた時間は短いから(というかそういう関係になったのはいつから?ねえいつから!?って諏訪さきくんに代わって聞きたい(下世話))唐突にも思えるけど、でも咲ちゃんの優しい目線の先にきわちゃんがいて。きわちゃんが柔らかく微笑んでいる。その空気感というか、雰囲気がすごくよかったんです。この二人に、ヒリヒリした恋の駆け引きとか事件とかはいらなくて(笑)

ふたりは結婚して、ずっと生涯離れることはありませんでした。

それだけで咲きわはいいんです…すごい尊いなんて美しいんだ咲きわ…(合掌)

 私、見る組見る組「もうここのトップコンビのデュエットダンスが最高だな!」って思ってるし言ってる気がするんですけど(いいところだけ見ていたいし悪いところはすぐ忘れる天然メンヘラヅカヲタなんで、本当に見た瞬間毎回そう思うんですよ…)

咲きわのデュエットダンスはもう~~~~天国。

 文秀と玲玲、ラブシーンはおろかキスシーンも一切ないのよね。(たぶん)っていうか何にもないんですよ!!(大声)(だからしつこいけど、いつからか、どこからそうなった?ってことだけ教えて欲しい…by諏訪さきくん)なんだけど~、振り付けの先生の粋な配慮なんですかね?

 デュエットの最初に咲ちゃんからキスするんですよーーーーーーぉ!!!!(ヒューヒューだぜ!)(※あくるさん、これでもまあまあいい大人)

 なんかもうね、そのキスシーン見てまた泣けてきちゃって。

 …尊い。(合掌)

 …こんな尊いことある?最後の最後のデュエットのキスでドゥワーーーー!!きわちゃん退団キャンセルしてーーーーー!!みたいな感情爆発するアレ。

 咲きわって学年も経験も経てのふたりじゃないですか。いろいろあったじゃないですか?ふたり。だからね、誰よりもピュアなんですよね…。それを見てるこっちもすごいこう、浄化されるんですよ…。すごい。咲きわ。奥まった僻地のパワースポットのミストシャワーみたいな清らかさ。(※伝わらない)本当に、世の中いろいろあるけどこの二人が息をしてくれてればそれでいい、みたいなね…。

 …尊い。(もういいから)

 最後にダークグリーン雪組色☆)のデュエットのお揃い衣装が見れたのでもう成仏したい。…あ!あの最後にひとつだけいい?あの咲きわのデュエットおそろい衣装ってなんであんなにいいんですかねぇ…。迷わずセット買いするやつ。「この彩風咲奈にはこの朝月希和が似合うと思うんですけど~」ってショップのお姉さんにすすめられたら「じゃあ買います(即決)」ってなるやつ。もう本当に最後の最後までエモくて萌えて、見る人を灰にする咲きわコンビでしかない。

 うっすーい小学生みたいな発言ですけど、朝月希和という娘役が嫌いなヅカヲタっていないんじゃないかな?って思うくらいきわちゃんというトップ娘役は完璧だと私は思っていて。好みはもちろんあるけど、誰のそばに立ってもしっくりくるし、誰のそばであっても横の男役がかっこよく見える。

 ひとりでもすごく幸せそうで、咲ちゃんの横に並ぶともっと幸せそうに彼女は輝く。誰のファンでも、同性でも異性でも、恋愛関係でも友情でもそういう人と一緒にいたいなあって思える存在。それが朝月希和という娘役だったと思う。

 きわちゃんが咲ちゃんの横でいつも幸せそうに輝いていたから、雪組を見ると心穏やかになれた。いつでも帰ってこようと思えた。そういう雪組ファンはきっとたくさんいると思う。

 きわちゃん、お疲れ様でした。そしてご卒業おめでとうございます。いつまでもその、地球上のすべてを浄化するような笑顔でいてください。

 …尊い!(これに尽きる)

 

 トップ二人に以下二番手さん。雪組のメンツは私が一番見ていたときから様変わりしているはずなのに、「ただいま故郷!」感があるのはやはりジメジメ感となにかにつけて重い芝居が私が単純に好きだから…メンツが代わっても私の芝居の好みが変わらないことをひしひし感じる雪組芝居。

 

人間の力で覆せない運命などない ■春児/朝美絢

 先に言っちゃうけど、今回の私のドハマリキャラクターです。あーさが本当によかった。2番手のあーさは生で初めて見たんですけど、正直すみません、言っちゃいますけどすごい男役二番手になってて感動したわ!

 誤解を恐れず言ってしまいますけど、私あーさがこんなに心を揺さぶられるような演技をする男役だとは全く思っていなくて。以前は「うわ~麗しい~本当に目が喜んでる~(オペラでガン味)くらいの気持ちだったのに、今作はオペラなしでゴーゴー泣くというもう…私あーさの身内かなんかなのかな…?ってくらい感情移入してました。私、今回の観劇でいろんなカルチャーショック受けたけどあーさの成長が一番ガンッときたかな。それくらいすごく、心に刺さるお芝居をするのね。今回の朝美絢はすごいぞ!!

 「人間の力で覆せない運命などない」という言葉はツイッターでも書いたけど、あーさの信念そのものではないかなと思うくらい、春児は朝美絢という男役にシンクロしてた。私はどこで読んだかもう記憶が定かではないけれど、あーさの

「私には得意なものが何もない」

という言葉に結構なインパクトを受けていて、聞いた当初はいやいやいやいやご冗談を~!って本当に思ってたんだけど、きっと彼女にとっては本当に切実なことだったのだろうと思う。

 貧しい身分に生まれ、貧しい地方で育ち、貧しい家族に食べ物を食べさせる。働けども働けどもお腹は減る、満たされない生活。そうした中で、占い師に「金持ちになる星を持ってる!」と言われた春児。家を捨て、男を捨て、何もかも捨てて新しい自分になった。

 そういうなりふり構わずに生きてきた春児が、一生懸命「生きること」に必死な春児が、朝美絢に重なる。あーさってとにかく顔が美しいので(これは彼女のものすごい強みだから(断言)あえて大きく言うわ)ここまできたのもただのラッキー、みたいな感じに見えてしまうところが私は数年前まで少なからずあって(本当に謝る!ごめん!)

 ただ、その「ただのラッキーボーイ」から「あーさすごい!めっちゃいい!!」となったのは「ミュージックレボリューション」から。朝美絢の概念が覆ったすごい公演。「今の誰!?」と誰もが顔を上げるあのパワフルボイス。魂震える大音量と太い声は、繊細な容姿とのギャップが最高で!!すごいテンションとモチベーションを上げる声。

 なんだかその経緯を知ってると、春児と朝美絢が同一人物みたいに見えてくるのね。   

人は努力すれば必ず夢は叶う。

行きたい場所に行ける。

なりたい人になれる。

 そういう言葉に出すとたいがいの大人は笑い飛ばすことを、朝美絢がいうから嘘がない。ズッと心に刺さる。「努力と練習は人一倍してきた」そう言い切れる彼女だからこそ、説得力をもって春児は生きた人物になる。

 原田くんの「いつか舞台化する!」という夢だった蒼穹あーさが春児だったから、この作品はきっと生きた作品になったのだろう。そう言い切れるほど、今回の朝美絢はすごいぞ!!(二回目)

 フィナーレでもあの観客を魅了するパワフルボイス、健在でございました。眠っていた人を呼び覚ますあの声!「ちくしょう!」素晴らしい。そしてそらとの並びのシルバニア感よ。

あの二人、キーホルダーにしてカバンにぶら下げたいわ。

 

短時間で成果を叩き出す、必殺仕事人 ■順桂/和希そら

 「あーさとそらもいるのにその上6人も専科出すって原田く~~~ん???」」と思ってたのはもう過去のことです!しかしそれでも、私達が願ってやまないそらへの需要とそれに対してのセリフの少なさ、出番の少なさはやっぱり割りを食った感はある。

 だがしかし!!この順桂、ストーリーを追うとやっぱり重要人物。配役がね…上手いんですよ…!褒めちぎるのも原田くんに対してこう、悔しさがあるのですが。(←素直になれない性分)そしてそれに上乗せしてそらが上手い!!そらが上手い?知ってる!!知ってたけど、それに上乗せして毎回彼女は「うわ~!!上手いわ~!!」ってガンガン成果あげますよね。必ず定時で帰るけど一番売上あげる営業みたいな役者、和希そら。←褒めてる

 最初は「首席の文秀、次席の順桂」っていう感じで「ああ、そーやって文秀をサポートしてく感じねふんふん」と見ていたんだけど、どんどん雲行き怪しくなってきて…2幕で大事件を起こす順桂。あまり脚本上では語られない順桂だけに、そらの「只者じゃない感」「何を考えてるかわからないけど何か考えてるよね感」が引き立つ。

私、子どもみたいな無邪気な(「夢介」みたいな)和希そらも好きなんですけど、今回とか少し違うかもだけど「心中」みたいな大半静か、でもところどころ狂気を感じる只者じゃないみたいな大人の男性もすごくいいなあ。そらの静かで、鋭利なナイフみたいなセリフの言い方いいですよね…。音が静かなのに切れ味最高!みたいな(深夜の通販番組みたいな謳い文句)。

 でも一番「ええ!!」ってきたのは順桂が妻子持ちと聞いたところです。ええ!!そら、ええ!いつの間に!?いつから、誰と?どこでそうなった…?(諏訪さきくんに、以下略)

 

 雪組プラス専科6人ですって…?(もう一回言ってミスター原田?)」と思ってたのは見る前まで。見た後はそれこそ無駄な人材などひとりもおらぬ!といわんばかりの適材適所に泣けてきます。

①あなたに言われたら運命変わるわ、タカラヅカきっての占い師。白太太・京三紗 

②やはりあなたが日本を作られたんですね…?な伊藤博文汝鳥伶

③イメージ変わった…!すごい迫力と強さ、でもそれは悪じゃない、西太后一樹千尋

④あの…絶対中国史にいましたよね…転生してきたんですよね…!?な夏美よう

⑤誰かこいつを殺して頂戴!!憎さ余って、でも上手い!!悠真倫

⑥将軍、イケメンすぎます~~!!リアル中国俳優、凪七瑠海

 …以上、取り揃えてございます。♪遠慮せーず恥しらーずどうぞっ、召し上がれ~♪(マダム・ヴォルフのコレクション)といわんばかりのラインナップ。専科様ってこのためにいらっしゃるんですね…!とまざまざと見せつけられて、秋2022。(LOVE2000みたいな感じで)←ほんとこういうのいらない

 

 

  (というかずっと…)前情報を全く入れずに見に行くので後からいろいろ調べたりちゃんと予習した友人に聞いては「へぇ~~!そうなんだぁ~~!!」となる観劇スタイルなのですが(もはや大河の鎌倉殿と一緒である)、この公演ほど「そ…そうなんだ…!!!」と歴史的事実に驚愕することが多かった公演もなかった気がする。

 宮廷の陰謀ものが昔から好きで(思い起こせば星組紫禁城の落日」から。なんで中学生がそんなの好きなの、と心配されるほどビデオで見てた)、そのあとは映画「ラスト・エンペラー」(毛色が若干違うが)レッドクリフ」と続く私の青春期。

「まあ、私の好きな世界ですよね、赤と金のジャラララ~ンですよね知ってます~ぅ」と、浮かれて鼻歌交じりに久々の雪組ダァ~♪なんてしれっといったら強烈な

「ドヤァァァ!!!これが雪組の中国やァァァァ!!!(ドゥーーーーン←ドラの音)」

…という圧倒的迫力と勢いと歴史の渦に飲み込まれて、行く末にハラハラドキドキ。

春児のセリフに涙すると、もうなんか…日常の小さなことで、イライラしたり不安がったりするのがバカみたいだなぁ!といい意味で自分の悩みが小さく、どうでもいいなと思えてくる。土地が腐る程あるから面白い」と言わしめる中国ドラマのいいところです。

 「人間の力で覆せない運命などない。」

 普段なら仰々しく聞こえてしまうこの台詞が、「そうだよねえ」と思えてしまう脚本力、説得力のある雪組の芝居。運命にときに従い、抗い、そして生きている文秀、玲玲、春児。

 一生懸命みんなそれぞれ、生きている。生きているから悩み、苦しく、絶望する。それでも諦めない。明るい未来がくることを。運命なんて変えてやる!文秀と玲玲が乗る船に向かってそう叫んでいるような春児が、私には希望の光に見えました。

 

 長いパンデミック生活。もう十分私たちは我慢した。新しい世界へ、いざ抗おう!

 この世界を、生きるのだ!!

 

 

 ここまで読んでくださった方!いつもほんと~~~~にありがとうございます!!また次の観劇感想でお会いしましょ~♪星…星のチケットがどこにもないのじゃ…(うろうろ)(1789!!まこなこで~~~~~179!!イエーーーーーイ!!!!!!)