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花組「Mr.Swing!」1年前の花組ショーに、大興奮。

1年前のショーのレビューというのもおかしいが、今月のCSの我がハイライトは

こちらの「Mr.Swing!」と「ベルサイユのばら」(新公)だったゆえ、

いつかはショーのちゃんとしたレビューというのも書いてみたかった。

(レビューになっているのか?)


つたない文章ではありますがそして浅く広くな私なので詳しくは

顔もわからないものつらいが出来るだけヅカヲタっぽく書けたらと思う。

その「ヅカヲタっぽく」の定義がよくわからないのも、ご愛嬌ということで。(よくない)


さて、今回取り上げる「Mr.Swing!」。

上演時は「愛と革命の詩」のあまりのツッコミ作品だったゆえに(しかも結構

厳しい意見も書いてしまった・・・反省。)お芝居の方に考えがいってしまいがちだったが、

実はその当時はこの「Mr.Swing!」を見るために通っていたといっても

過言ではない。このショーを見るためなら、新幹線代なんて惜しくもない。


さて、作者は稲葉太地氏。デビュー作から躍動感というよりは玄人好みの

不思議な雰囲気を醸し出す(中東系が大好き)という印象で、


『Carnevale睡夢 - 水面に浮かぶ風景 - 』(2010年 雪組

『ルナロッサ - 夜に惑う旅人 -』(2011年 宙組


あたりの流れから、あの早すぎた鬼才・荻田浩一氏(通称オギー)の伝承者かと

言われたが


『Celebrity -セレブリティ-』(2012年 星組


からガラッと方向を変えてきた、今の宝塚には珍しいショー専門作家。

大劇場4作目のこの花組「Mr.Swiing!」ではデビュー当時から持ち合わせていた

不思議な世界観を残しつつ、新しい「蘭寿とむ花組の躍動感」をプラスさせ

非常にかっこよくスタイリッシュで程よく遊び心もあり、毎回見るのも楽しみなショーである。


なお、私たちが愛してやまない88期のスター春風弥里の退団公演でもある。

涙なしには見られない彼のはなむけ場面もあるので、涙を抑えられなかった

観客も多いだろう。彼のはじけるような笑顔と、送り出す同期。

「リズム」は近年のショーの名場面である。

蘭寿とむの心地いい包み込むような歌声が、涙をさそう。


花組時代、隠れた名コンビだった華形ひかる氏とのかけあいの詞も絶妙だ。


さて、話がそれたが今女優として大活躍の蘭寿とむ氏。

花組で育ち宙組で男役としてのスキルを高め、トップスターとして

花組に戻ってきた「首席入団エリートだが苦労は多かった、大型トップスター」である。

蘭寿氏の輝ける花組トップスター在籍時間数は短いかもしれないが、

残したショー作品の名作揃いには舌を巻く。


オーソドックスなあの時の花組らしいショー、

雪組元トップ壮一帆との共演も見どころの「カノン」


黒塗りショーの新しい名作・何度見ても飽きないパワフルでエネルギッシュなショー「CONGA!!」


そして賛否両論はあったが最後のたたみかけるようなこれぞ宝塚の圧巻の黒燕尾の

「TAKARAZUKA ∞ 夢眩」。


どれもリピートしても毎回楽しみがあったショー作品の逸品揃い。

ショーは基本どれも退屈しないし、作品それぞれの見どころがあると思っているが

正直リピートがつらい作品もまれにある。だが、蘭寿さんの時にはそれがなかった。

退屈している暇がない!花組らしいショースターが多かった、というのも理由にあるかもしれないが

蘭寿さんのダンス、歌がどれも素晴らしく振り付けもかっこよく、作家こだわりの選曲センスがよく

(「夢眩」は賛否両論あり、かな。私は好きだけど)圧倒的存在感で

「トップスター・蘭寿とむ」の力を劇場を支配していた。

ショーになればキタキタキタキタ、となるのだ。幕間の時間が惜しいくらい。


さて、話を「Mr.Swing!」に戻そう。


最初はカウントで始まる。この「チッチッチッチ・・・」で心拍数は上がり、

「始まる・・・始まる!」感が煽る。そこで蘭寿さんのスポットライト。

かっこいいいいいいいいい!!!!!!といきなり心が乙女になる瞬間である。

蘭寿さんの赤スーツも似合いすぎてて怖いくらいのはまりよう。リーダーとなる人の

永遠のテーマカラー、赤である。


最初から男役全員から始まる、というのも「絶対男役至上主義」の花組らしいショーである。

ちなみに、プロローグ振り付けは元花組トップスター安寿ミラ。どおりでかっこいいはず。

そして男役が舞台上で並ぶとき今向かうところ敵なし状態の95期男役

水美舞斗・柚香光を蘭寿さんの両隣に配置する、という絶妙なわかってる感。

ヅカヲタ的にもオペラにとても優しい並びといえよう。


宝塚でもよく使われているし、曲も世界的に有名な音楽なのでプロローグで

ぎゅっと心も持って行かれる。「つかみはオッケー!」である。

スーツをなげたりふりまわしたりソフト帽で遊んでみたりと、花組でしか見られないような

振り付けがぎゅっと詰まっている。そこのわかってる!な振り付けANJU氏、

そしてそれを具体化して「かっこいいいいいいい!!!!!!」を表現する花組男役。

近年素直に「かっこいいいいいい!!!!!」が言えない、心の乾いている

貴方におすすめのプロローグである。はい、それは私です。無条件にかっこよすぎて

もはや絶句、レベル。


花組的流行語となった「あ!つ!い!」で爽やかに銀橋を渡る現トップ・明日海りお。

涼やかな美しい顔で「あ!つ!い!」と熱唱するみり様に彼の不思議なかっこよさが

まとわりつく。私はその「涼やかな美しさ」から「みり様」と呼ぶことが多い、

と勝手に思っていたのだがみり様、なんとも不思議な雰囲気を持っているスター。

顔は決して男性的な要素はないし、体もたくましいというよりは、華奢。

「かっこいい」というよりは「美しい」と表現するのが似合う。


ただ、銀橋を渡ったりスポットライトをあびると「男役・明日海りお」になり

またトート閣下とは別の「男役のかっこよさ」を教えてくれるスターである。

売りもダンスではないはずなのだが、いちいち決まるポーズも振りも、

彼のスター性。なのかもしれない。


また、ここの娘役さんの衣装が金と青の新作で、とってもかわいい。

全員まとめ髪っですっきりした髪型も統一感があって華やかなショーの幕開きに

絶大な効果。だと思っている。


しかしここの望海風斗・・・贔屓ながら、顔がよく動くな・・・と唐突に思った。

いや、私この人の「顔芸のひどさ」が好きなんだけども。

「いやいやいやいや、大げさだろ」くらいの、顔芸が。

表情のよく動く人は、面白い。



そしてその「不思議なオーラ」明日海りおの具体化ともいえる、「エトランゼ」。

稲葉君、ほんっと「ターバンと中東が好きすぎるだろwww」とも思えるところなのだが、

「両性具有」のワードが堂々と宝塚のプログラムに載るところも

「おい、稲葉君www」要素でこれを受け止め振り付けたANJU氏に敬礼。

ていうかこの場面、元ジェンヌだったからできる、という見方もあるかも・・・。


歌、ダンス、芝居の3ワードだったらみり様は個人的には「歌・・・か、芝居かなぁ」と

思っている私だが(あ、別にただ思うだけです。別にそれには他意はないです)

ここの表現している顔やダンスを見ると、まあなんというか「受け」がとってもうまいな、と。

蘭ちゃんに向かうときはちょっと強気な態度を見せるが、

相方れいちゃんになるととたんに悩み気な苦悩する明日海りお。


れいちゃん(柚香)相手になるととたん「受け」というか表現がBLっぽくなるのは

なぜだろう・・・と出口のないトンネルに迷い込む私。この悩みはこの場面になると

ずーっと考える、私にとって一種の「お題」なので大丈夫です。スルーしてください。


しかし明日海さんのこの「不思議なスターオーラ」。


彼がこの世界を去る時まで、考えていられそうなとっても素敵なお題です。

「かっこいい」だけじゃ終わらない男役もいる。

ターバンでも中東でもナーガでもチェックでも(あれ、作品変わっている)

夢見る乙女の男性演出家(サイトーくんだったりサイトーくんだったりサイトーくんだったり)

(ときどきこういう場面を作る稲葉くんだったり)の夢をかなえてくれる男役なのかもしれない。



中詰めはセイラーから。ここにきても「不思議なスターオーラ」明日海りお。

エトランゼから一転、セイラーで爽やかに、銀橋。

この人なんっていうか、ほんと実在するのか疑うほどの存在なんだけど

(逆に望海さんのほうが実在するオーラがある。私がファンだからかな?)

(ガン見しているから「絶対いるわ」っていう確証があるのかな?)

やっぱりこの「不思議スターオーラ」は唯一無二。明日海さんしか醸し出せない。


ここからが花組の本気です!ともいえる宝塚のショー定番、スターの歌い継ぎ。

とりあえず、イケメンが湧き水の如く袖から出てくる。

ほんっと、イケメンしか出てこないから。ほんと、注意して。

その中、タンゴで堂々とあの華形ひかると渡り合う桜一花さまが恐ろしい。

何度もしつこくて申し訳ないけど「絶対男役至上主義」の花組で生きてきた、

いちかさまのスキルには土下座する勢いでもはや尊敬の位置だ。

次の公演で彼女がいないなんて、考えられないほど(「エリザベート」で退団)。


らんちゃんの「違う、みたいね、バイバイ♪」の「バイバイ♪」は

当時個人的大ブームで何度か実生活でも使ったけど、誰にも通じなかった。

(私が下手なのと、この世界知っている人がいないのと、ただのバカが重なった)


この花組スターの出そろった5人口の華やかさ・・・5人とも思い思いのダンスを

踊っていてそれでもそろっている、蘭寿・華形・春風・明日海・望海。

下手でばしっとポーズを決められたら誰も文句など言えるはずもなく。

そして、圧倒的歌唱力でその場をしめる蘭寿さんの歌唱力。

中詰めにはトップスターがいて当然、というショーのオーソドックスな形なんだけども

約束を守ってくれる演出が嬉しい。



そして場は移り「ハイ、稲葉くんでーーーーーーーす」の、マスカレード。


当時はとりあえず望海さんしか見てなかったのだけれど(アキラくん、蘭寿さんすみません)

こうやって映像で見るとこの場面って、男役3人で作られてたんだ・・・という不思議な場面。

望海さんの歌もあると思うけど「これよぉ!これなのよぉ!!」と稲葉くんが

叫んでそうな稲葉くんのドリームがかなったとしか思えない場面すぎて

目のやり場に困るからとりあえず望海さん見てよう、っていう本能だったのかもしれない、と

わけのわからない結論で自分を諌めている。


それほど、蘭寿さんとあきらくんのダンスが官能的でガン見する勇気が俺には、ない。


ここは役替わりで踊る人によって歌い方も変えている、という望海さんの話に

ものすごく感動した、というちょっと純粋な望海クラスタっぷりも記しておこう(自分のために)


っていうか、アキラくん・キキちゃん・れいちゃんの三人を選出した稲葉くんが

もはや誰なのか誰か私に教えてほしい(アンサー・座付劇団演出家)。

ここで明日海さんを持ってこないのが、稲葉くんの目の付け所だと個人的には思う。

いい塩梅のシーンです。ふわっと落ちてくる紫の布も、妖しさMAXでいい演出だと

思ってます。


思わず手拍子したくなる、花組生の総踊り。

全員の笑顔はじける楽しそうな雰囲気にこっちもわくわく。

ここでも好き勝手踊ってるように見えて、最終的にはそろう花組の底力。

蘭寿さんの真後ろで踊る冴月瑠那氏のキンパツが眩しいです。



涙なしでは見られない「リズム」の場面。


春風弥里級のスターに、ふさわしいはなむけの場面。

冒頭でもちょっと言いましたけど歌詞がとってもいいのです。

よっち先生・らいらいに背中を押され、銀橋を渡るみーちゃんの笑顔。

彼の新しい人生のスタートライン。ああ、春風弥里はここを去り、そのあとも

きっと素晴らしい人生が待っているのだろう。彼はずっと輝き続けるのだろう。

この笑顔がすべてを物語っている。花組生としての期間は短くても、

花組の男役であり、タカラヅカのスターだった。春風弥里は、全うしたんだ。

だからこそ、次の人生に踏み出すことができる。彼のスーパーキラッキラ顔を見ると、

やっぱり宝塚っていいところだな、と思わずにはいられない。


組替えがあったり、つらいこともあっただろうし、大ちゃんとはケンカするし(笑)

それでも彼は走ったし、ゴールをきった。


みつるくんとの隠れた名コンビのかけあい


「どこへいくんだ」「いけるところまであるくさ」「また会ったらスイングしようぜ!」


この掛け合いだけで私、もう体がカラッカラです(水分なし)。


みつるくんの器の大きさに、次の舞台が楽しみでなりません。

華形ひかる、残ってくれてありがとう。



蘭寿とむといったら、黒燕尾。天下の花組の最終兵器です(戦車なみの威力)。

これ、2階席からだとめっちゃくちゃ綺麗だったんだよなあ・・・

蘭寿さんは手の先まで魂が宿っている。ダンスのことはさっぱりですが、

きれいなのはわかります。


ちなみにここも蘭寿さんはさんで望海・明日海なので非常に目に優しいです(どうでもいい)


そろそろお別れの時間です。最後にデュエットダンス。

蘭蘭コンビの大階段を使ってのデュエットダンスは安定感がハンパないです。

らんちゃんの衣装もかわいい。


蘭寿さんが完全らんちゃんに熱い目線を送っているので、

ツンデレの彼女にぞっこんの蘭寿とむ」を見れて私は大変満足です。(ぞっこん死語)。

大階段にスポットライドが2つ。上がるわ。テンションが。


と、思ったら振り付けはANJU氏。ヅカヲタのツボをついてくるだけある・・・(誰)。




「スウィングしなきゃ意味がない!」とプログラムで稲葉くんが言っているとおりの

名作ショー。帰り道は足取り軽く、鼻歌まで歌える楽しいショーです。

何も考えず、楽しめる究極エンターテイメントショー。

もちろん「「ルナロッサ」「Carnevale睡夢」みたいなショーもいいけれど、

テンション高めのこの「Mr.Swing!」。


大介ショーでもなく、スター春風弥里の最後の公演としても、

花組のショーとしてもダンサー・蘭寿とむも堪能できる逸品です。


稲葉くんの確実なるエンターテイメントスキルアップショー

当時の花組でなければできないキャスト。それを全部ぎゅっと詰めて。


一切無駄のない場面展開に、ただただリピする生活を送っています。