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早く正塚晴彦の演出家プリズムを【あれ若手演出家の番組です】

質問に答えていくうちに気付く。そして久々に「マリポーサの花」を
引っ張り出して見ていると、改めて思うのである。

ああ、私正塚晴彦好きだな、

むしろ、大好きだな、と。

と。100周年はシューイチローコイケYearだからこそ言いたい、
正塚晴彦の素晴らしさを。

宝塚歌劇団にぶっこまれた異端児演出家

それにしても私たちは正塚晴彦を宝塚に入れた当時の上層部の
頭の柔らかさに感謝せねばならない。
宝塚歌劇団とは遠いジャンルの演出や脚本をする「異端児」の異名を
もういい歳なのに今でも欲しいままにする正塚晴彦。
もうベテランなのに「ハリーブレねえww」となる何年たっても変わらない、
作風に演出に「ああ」「うん」の小劇場系演出家。

いつも時代は正塚に厳しい。

「2000人相手にする芝居ではない」
「細かい演出が遠目では確認できない」
「と、いうかこれで本気で客を満足させようとしているのか」

何しろデビュー作が「アレ」という、自分のこれからが決まる作品が
あの異色の(問題作でもある)今でも語り継がれる「テンダーグリーン」。
宝塚でやっていこうとしている人間とは到底思えない作品である。(個人的に)
私はあまりに今見ても新しすぎるので、見終わった後しばらく動けなかった
(雷に打たれるとはこういうことなのか)。

しかし当時の上層部でよほど正塚に弱い柔軟な頭の持ち主がいたと思われる。
正塚の本気の遊び(=仕事)が始まった。
だいたいバブル時代に正塚をイギリスに取材に行かせるなど
そりゃもう遊ぶよね。正塚。あの人を海外に行かせて何を学んで帰ってくると
思ったのだろう・・・そりゃゴルフ三昧になるよね・・・(ちょっと前で言う「から出張」)

話がずれましたが、これは有名な話

「ベルばら1幕で俺帰る」事件

は実に正塚らしいエピソードである。これを流した「演出家列伝」のプロデューサー、
あとでえらい人に怒られなかったか心配ではありますが
グッジョブです。もう10年前の番組なのにある意味一番心に残っている
番組かもしれません。それくらい衝撃的なエピソードですが、
正塚、内定もらっても辞退しなかったところを見ると就職活動に相当
行き詰っていたのでしょうか(余計なお世話)


②正塚晴彦に惚れられたジェンヌたち


ジェンヌさんを大きく振り分けるならこうだ。

「正塚作品にハマるジェンヌさん」と「ハマらないジェンヌさん」。

ハマらないジェンヌさんは逆にいえば「大芝居(2000人キャパ)向き」であると同時に
「ごまかしがうまい」(これはいい意味でです)という意味をここでは指す。
宝塚歌舞伎が似合うともいえるし、大げさといわれる宝塚芝居がハマって
タカラヅカ」的と言われる王道のお芝居ができる人(よくも悪くも「タカラヅカ」らしい)

しかし正塚の芝居はごまかしが効かない。
「ハマる人」は芝居技巧者、「芝居が巧い」という職人肌の人が多いイメージである。
「上手い」じゃなくて「巧い」のである。
しかしこのタイプ、職人なので宝塚大芝居も器用にこなすという立派な
「心の髄まで役者魂」を持っているのでハマる人は結局「お芝居上手さん」になります。

正塚はそんな「お芝居上手」さんを育てるのが非常にうまい。

「宝塚とは何か」ではなく、「芝居とは何か」ということをたたきこまれ、
下級生時代に正塚作品に当たると真っ白いキャンパスにさらに真っ白い
絵の具をぬるような作業をさせられるイメージなので
「まずは基礎」「基本を身につけ応用が効く」芝居ができるように
なるのではないかと私は思っています。代表的なのは今で言うと
月組・沙央くらまさん。下級生雪組時代に嫌でも
正塚演出に当たりまくっていたコマちゃん、かなりの芝居技巧者かと。

さて、正塚晴彦に惚れられたジェンヌたち。

「正塚がいかにも好きそうなジェンヌさん」を決めるのなら、ちょっと前なら
久世星佳さんと成瀬こうきさん、そして朝海ひかるさんが
三本の指に入るのではないかなと思います。
久世さんと成瀬さんは「芝居の月組」で育ち、もともとの本人の持ち味が正塚先生の
感性とあったのではないかと。

朝海さんはただの「正塚作品当たりが多いジェンヌさん」であり、
特に雰囲気がハマっていたわけでもないと思うんですが私たち
(というか私を宝塚にはめた友人M)が大ハマリした「Romance de Paris」を見たり、
私が朝海さん堕ちした「追憶のバルセロナ」の世界観を見ると
朝海さんはオスカル役者でフェアリータイプでもあったのにもかかわらず
あの正塚雰囲気にも対応できたジェンヌさんとして「雪組は正塚組だね」時代の
基礎を作った罪は重いでしょう。そしてミズナツキに時代は流れる。
この基礎が、緒月遠麻に受け継がれていくという恐るべき宝塚の伝統芸。
ちなみに緒月さんは「Romance de Paris」で神月茜さん休演のため代役で
ハミドを好演、チャンスをものにし「なんだか緒月遠麻はすごいらしい」という異名が流れ
今の宙組の鉄板となったテルキタの生みの親は正塚晴彦です。

これだけでも正塚先生が今も宝塚の座付である意味があると私は思っています。
詳しく見たい方は「Romance de Paris」の樹里咲穂さん演じるラシッドの部下の
ふたり(まだ下級生のテルキタです)をご覧くださいませ。
そこにはテルキタドリームの基礎が出来上がっています。

私は宙組で「姫政権の大劇場作品で正塚」の夢をまだ捨てきれません
(そこには緒月さんがいること大前提)。

バトラーをやった姫だから、できる正塚芝居の男がいる。


③最近の正塚


失速気味です。(おい)
朝海、水政権で雪組は正塚組化した時代を知っていると最近の
正塚さん、どうしちゃったの・・・?と思わずにはいられなかったのですが
やはりこれも雪組でした、な「ブラックジャック 許されざる者への挽歌」で
私的これぞ正塚、の芝居が復活の兆しが見えてきました。

雪組が正塚組化した時代に比べると仕事量も目に見えて減っている時、
今年の夏の月組ドラマシティがスピンオフというやはり正塚考えることが違うぜ的な
感じで受けとめています。素直に嬉しいです。

だいたい馬車馬の如く働かせたサヨナラ公演演出家という
間違った歌劇団の解釈が正塚の「俺仕事じゅうぶんやったぜ」中枢を働かせ、
「ちったぁ休ましてくれ」となり、結果「最近正塚センセ元気ないね」になったと思われます

基本正塚センセ「テキトーに仕事をし、テキトーに遊び、テキトーに頑張る」派の
演出家なので適度なお仕事量でよろしくお願いします歌劇団様。

正塚大好きだったMと私が「また雪組正塚先生~!?」となったあの頃が懐かしい、
幸せだったと実感できる今日この頃でございます。いい時代でした。
月組DCチケット頑張ろう。

あれっ、この記事現役ジェンヌの名前全然出てないぞ。



・・・この記事ニーズあるんだろうか。ま、いっか私のBlogだし(おい)