MENU

美しい人であり、愛された宙組トップスター・凰稀かなめ、卒業

最後の最後まで、美しい人だった。


自らフェラーリを運転して、登場した2015年2月15日の東宝千秋楽。

どこのイケメンだよ、それが凰稀かなめだった。



考えてみれば、研1の2000年おとめで「凰稀かなめ」という芸名から惹かれた存在だった。

顔が美しければ、芸名まで美しくなるのか、と思った存在だった。

ちなみに、そこで「緒月遠麻」の印象も覚えている。

四文字熟語の芸名か!それも、美しい思い出だ。



残念ながら、私は今回の公演をついに劇場で見ることができなかった。

雪組の「スポットライトの位置がわからない(by正塚晴彦)」頃から知っている、ふたり。

ずっとずっとショーではシンメで、新公ではほとんどが主演、二番手という関係だったふたり。

ふたりの最後のタカラヅカの舞台はもう見られない、と思うと

悔しくてなんとかして見たくて、でも全然予定は立てられず、時が過ぎる。


今日が仕事が休みということ、そしてラストディが地元の映画館でLVされる。

その偶然に気づいたのは、発表からずいぶん経ってからだった。

これは運命だ、そう思ってご縁でチケットを譲ってもらったありがたさ。

一生忘れない出来事も宝塚なら起きる。



なんと映画館のLVが初見ということで、なんとなく噂に聞いていた程度の知識で見る、

「白夜の誓い/フェニックス宝塚!」。


宙組さんを見るのが久々すぎて、ただただぼーっと見とれていた。

なんて美しい人々が集まっているんだろう。それが宙組の印象。

お芝居に中身がなくたって全然いいよ、だって一人一人がキラキラしているから。

シャンパンゴールドのドレスに宮廷服。見慣れた地元の映画館が

一瞬にして宝塚になる。私はたまらなくこの空間が、空気が好き。


その思いがMAXになったのは、「フェニックス宝塚!」だった。


オールバックで大階段で布をまとって歌うのは凰稀かなめ

今日の主役であり、退団者であり、宙組6代目トップスター。

昔も今も変わらず、美しい人。清く正しく美しい、美しい人だ。


かなめさんは最近よく言う言葉がある。私は出版物でしか知らないけれど、

かなめさんを卒業を発表してからよく言っている気がする言葉、それは


「舞台が好き。宝塚が好き。宙組が好き。」


好きがあふれた、ステキな言葉。

唱え続けた凰稀かなめは、やはりなるべくしてなったトップスターである。


正直、雪組時代は特に特技がある生徒でもなかったけど、

その群を抜いたスター性と美しさで新公主演の座をつかんでいった。


雪から星へ。


星に行ってからのかなめさんは、すごかった。

まず、柚希礼音との出会いがセンセーショナルだった。


お披露目「太王四神記Ver.2」で初タッグ。


柚希×夢咲ねね×凰稀、


このバランスが見事だった。ヴィジュアル、身長、芝居の表現の仕方に相性が抜群。

特にちえさんとの相性がすばらしくて、かなめさんも収まる場所に収まったな、と

安心して私は宝塚から離れることになる(私事でさーせん)。


気づいたら、かなめさんは宙組に異動していて、アーサーを熱演していた(華やかりし日々)。

過去の作品は映像でしか見れないけれど、凰稀かなめは確実に


「ただの美しい人」


から


「人の心に残る芝居と、確実なニーズ把握ができ、それを表現できるタカラジェンヌ


になっていた。ただの美しい人ではない。

いや、美しさはそのままに、そしてプラスされもっともっと輝きを増した舞台役者になっていた。

そして私が嬉しかったのは、雪組時代の上級生から「かなめちゃん」と呼ばれていた

今の「リカさん」ではない姿もいい意味でそのままのところはそのままなところだった。


美しいのに、チャーミングでかわいい末っ子なかなめさん。

これだけで無敵なのは誰でもわかる、簡単な方程式だ。


基本ツンデレだけれど、笑うとかわいい人。


オラオラが大好きで喉が強い。


脚がきれいで折れそうな細さなのに、娘役さんを支える力もある人。



実力にも申し分ない、そしてヴィジュアル的に最強。

そして、そばには雪組時代同じ釜の飯を食った緒月遠麻がいる。

手足が異様に長く、ダンスに長けて次期トップスター朝夏まなとの安定の実力。


ショーを見て、つくづく思ったのは「宙組にショーを!」である。

下級生含めこれだけの人材がそろっているのに、

凰稀政権でショーを2作しかやらなかったのは本当に残念です。


「フェニックス」がこんなに楽しいショーだと知りませんでしたと私が感想を言ったら、

「思い知ったか!」とニカニカと笑うかなめさんに出会えそう。

それか、「知らなかったの?」って冷笑されそう。


それが、凰稀かなめ。かなめさんのいいところなんだと思う。

人を惹きつけて離さない、魅力なんだと思う。


宙組が大好きです!!!!」


カーテンコール、大画面に見事なかなめスマイルで言い放った言葉に、

嘘はない。この人は舞台が好きで、タカラヅカが好きで、宙組が好き。

人に愛し愛された宙組6代目トップスター。


美にとことんこだわり、探求心を忘れない。

今に満足せず、前進を忘れずそして進化し続ける芝居心を持つ。


宝塚と東宝楽、芝居全然違うじゃん!は凰稀かなめの代名詞となる。

それも、いい意味だから全員が納得でき、楽しめる。わあ!と驚ける。嬉しい驚き。


いつも心にサプライズ。




2015年2月15日。


凰稀かなめさん、ご卒業おめでとうございます。


あなたは清く正しく美しい人。出会えてよかった。