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拝啓、同志のヅカ友へ。これは私達(ヅカ友)のお話です。~映画「メタモルフォーゼの縁側」を見て

好きなものをずっと好きでいるって難しいけど、続けた先には誰かがいるから沼っていいぞ!!!(ユキさん笑顔で「了解☆」)

 

 と、いうことで時は経まして~上田久美子記事から1ヶ月半ぶりのご無沙汰です。あくるです!(…違うんだよ~!ちゃんと配信見てるんだよ~れいちゃんのリストも見て帝劇ガイズも見れて3年ぶりのヅカ充を実感しております…!!)

 ただ…悲しいお話がございまして…宙組「フライミー」が見れず(配信さえも)世間のフィーバーっぷりについていけず…このままだと「カルトワイン」配信も雲行きが怪しい(いやだって配信日発表遅くない!?ええええ平日ですかー!?!?←土日に山はって希望休出したのに…(受験生かよ))というわけで、大好物の宙組別箱を見れないまま、期待値エベレスト級☆待望まこなこラブコメ(「めぐ会い3」)配信を指折り待っております…。ポスターのまこなこの可愛さだけでご飯が美味しい。

 

 まあ、そんなこんなで6月は西に東に行ってたわけなんですけど、れいちゃんリストは言いたいことが山ほどあるので大楽後に話したいな~と思ってるんですが。

 今回は番外編。

 ということで今日見てきた映画の話をしたいと思います!別に誰も聞いてないよと思います!!(大声)でもね、私この映画見て決心しましたの。

 好きなものは大声で好きっていってこう!!って!!!

 ヅカヲタ大好きな大河スペクタクルでも愛憎劇でもなんでもないが、何か人には大きな声ではいえないけれど好きで好きでたまらない世界の沼の住人だったら誰しも共感できるんじゃないかな、そんな映画です。

 

メタモルフォーゼの縁側

www.youtube.com

 いやすっごいよかったんですよ!!!!(大声)

 どれくらいよかったって、見終わった後「ユキさんの作ったカツサンド食べたい!!」ってららぽーとの中うろうろ徘徊して結局見つからず、めちゃくちゃ残念な気持ちで家に帰り冷凍したカレーをベランダで食べたくらいにはよかったんです!!!(たぶん映画を見た方はわかってくれるはず。カレーとカツサンドが異様に食べたくなる映画です☆)(にしても、ベランダと縁側だとだいぶノスタルジー度が違ったので…やっぱりユキさんのカレーが食べたいです…)

 

 この映画「メタモルフォーゼの縁側」はだいたい予告編を見ればわかる内容ですが、BLマンガを通して高校生のうらら(芦田愛菜)と夫を亡くした書道家のユキさん(宮本信子)のシスターフッド映画です。ええ。

 誰がなんと言おうとこれはシスターフッドでございます。それも最強部類に属するシスターフッドです。(断言)

 正直、「ウチらの友情マジ最強」の意味での「チャーリーズ・エンジェル」に匹敵するし、なんならこれをカンヌに持ってってほしい。(アカデミーだとちょっと絵柄的に負けてしまうからカンヌがいい。)ほんとに。

 すっごくいい意味で邦画らしくて、日本人にしかない感性と文化で真の女性の友情を描いていると思うんですよ。それもすごく平和に。縁側でひなたぼっこしてるようなあったかい気持ちで。

 自分の沼(=趣味)を持っている女性なら100%ヲタ友にラインしたくなる、そしてその友達とカレーあるいはカツサンド(まだいう・・・)を食べて趣味談義に花を咲かせ、そしてそういう友達を大事にしたくなる映画だと思う。

 

17歳のうららは、趣味でBL漫画を読んでいる。ある日、彼女がバイトをしている書店で、75歳の雪が内容を知らずBL漫画を買った。雪は初めての世界に驚くが、次第にその世界に魅了される。そして、ある日ふたりはひょんなことをきっかけに交流を始め……

 

 もともと、原作マンガですっごく好きで読んでいたんですけど実写化すると知ってまた主演が宮本信子芦田愛菜ちゃんていう映画阪急電車ファンにはたまらない邂逅で、もうほんとに涎が垂れるほど楽しみにしていたんですけどいやはや期待は裏切られず…っていうか期待を10倍くらい上回ってよかったのです。派手な映画じゃなく、まあぶっちゃけあまり映画通いが趣味じゃない人は映画館で見る必要のない映画の部類だとは思う。ストーリー展開的には2時間ドラマでもいいのかもしれない。

 でも、映画館で見ると何倍も「大事なことってこういうこと」っていうのが伝わってくるんです。集中して見るっていうこともだけど、

 芦田愛菜ちゃんのグレーでなんの高揚感もない灰色高校生活とか(ただ幼なじみのつむっちゃん(なにわ男子の高橋くん)は異様にキラキラしている)、ユキさんに早く会いたい!と思いながら学校の中をウキウキと歩く様子とか。

 ユキさんのうららさんと話すときの楽しそうな笑い声とか宮本信子ってなんでこんなにいくつになっても可愛いんだろう)美味しそうなカレーのぐつぐつ煮る音とか、ルーをたたたんっ!と切る音とか、カツサンドを頬張るうららさんの悔しい気持ちとか。 

 映画館でしか聞こえない音がたくさんあるので、それを堪能できる映画館おすすめです。って私いつもタカラヅカの宣伝したり映画館の宣伝したりわりと忙しいなオイ。

 話がそれるけど、脚本の岡田さんはオリジナルも上手でこういった原作ものの脚色も上手なので(しかも誰も悪者が出てこない系がお得意←あくるさん大好き)まあまあのベテランですが好きな脚本家のひとり。でもってTBS火曜10時枠を書くととにかく少女マンガになるとこも好きです。ってことで勝手に岡田恵和タカラヅカに就職したら小柳奈穂子になった」といった設定にしてます(設定て)(ごめんそれがいいたかっただけやねん)

 

誰にでもできるメタモルフォーゼ

 この映画、感想で誰もが言っていますけど別に「BL」がメインな話ではなく、まあ正直ココはなんでもいいと思うわけです。映画でも、特撮でも、ガーデニングでも、歌舞伎でも、それこそタカラヅカでも笑なんでもいい。ただ話のきっかけがBLだった、ってだけで、特に劇的な展開は全くない。スペクタクルな話は微塵もなく、ただ、ふたりの女性がほんのちょっとのメタモルフォーゼ(変身)する。しかも、わたしたちもこれはできる。いつもと違う服を着る、いつもと違う映画を見る、いつもと違う本を読む。それがメタモルフォーゼ。

 でもそれを知るによって、世界っていうのはキラキラと輝き出すから面白い。

新しい世界を知るって楽しい!!そういう自分の原点に帰れるお話でもあると思うんです。初めて知ったときの高揚って誰でも経験するじゃないですか。その楽しさ、素晴らしさをこの映画はまた思い出させてくれるんです。

 ユキさんはBLマンガを知って、生きる喜び、楽しさを再び見つけて。それがうららさんと友達になったことで、また何倍も喜び、楽しさが跳ね上がる。次の巻が出る時期を逆算してお仏壇に向かい、「…まあ!…お父さん、しばらくはそっちに行けないわ♫」とうふふと笑うユキさん宮本信子…かっ…可愛すぎるわ!!!!)

 …この逆算、しますよね?ヅカヲタ…結構しますよね??(確認)「トップになってもう○年・・・あと○作するとしてあと○年後くらいにサヨナラか(計算機持ち出す)」的な。ユキさん・・・こちらの沼もあっためておきますからね(⌒▽⌒)

 それにしても宮本信子の可愛さがもうすごい。私はこういうおばあちゃんになりたいです。いくつになっても新しいことにわくわく、目をキラキラさせて「なにか・・・おすすめあるかしら」みたいな。うららさんが家に遊びに来る前の日になったらものすごく豪勢なものじゃないんだけど、あったら嬉しい、美味しい料理ウキウキ作っちゃったり。次の話がもう待ちきれない~!!とビニールビリビリにやぶいてマンガ読んだり、なんだかいつも上機嫌で鼻歌交じり。

 女性って年齢を重ねると厳しくなるか、丸くなるかどっちかだなあと最近身をもって感じているのですけれど(女性ってほんとにいろいろあるよね)私は宮本信子派でいたい。そういう気持ちにさせる役者ってすごいなと思う。

 

「これが好きです」といえる勇気があったなら

 この映画に何をシンパシー感じるかって今でこそBLもタカラヅカも市民権得ているわけですが、ほんの10年前はどちらも

「別にいけないわけじゃないけれど、大声ではいえない趣味」

だったと思うのです。いや、言ってた人もいるだろーけど(笑)私はそういう人を見て「し、心臓強い…!!」と本人でもないのにドキドキしていた口で。

 タカラヅカを見出して20年、この界隈ではそこそこの中堅クラス(新公卒業くらい…)だと思っているのですが、その20年の始めと今じゃ「宝塚歌劇団」の世間的な認知度が天と地だと思っているんです。…私の自意識過剰でなければ。

 なんだろう~~~、私が関西圏に住んでれば、あるいはベルばらブームの渦中にいたらここまでタカラヅカ見てること、みんなに秘密なっ☆」って感じではなかったと思うんですけど。なんかすごい見てることを異様に恥ずかしく思っていて、好きなことを誰にもいえない、市内でタカラヅカグラフ売っているのが1つしかないのにレジに持っていけない、それアダルトマンガ買う男子高校生か!?っていうような自意識しか持ち合わせてなかった私よ。

 うららさんの気持ち、痛いほどわかってしまう自分よ。

 …まだ(同世代の)明日海さんとか望海さんが見てたくらいの時期って全然公に口にできる趣味じゃなかったと思うんですよ~。望海さんは神奈川っていうか、(本人曰く)大都会☆横浜ならまだしも明日海さんの静岡では言えなかったはず。言えなかったと思うよ?私は言えなかったよ!

 …いや、でも望海さんはもうなんの迷いもなく学生時代からああやってタカラヅカの布教活動に勤しんでいたわけだからもうこれ本人の性格だったりするのかな…れいこちゃんがはまったコムちゃん時期でもまだまだ潜在能力高めの趣味だったと思うんだけど。(ぶつぶつ)

 そう思うと、ファンであることすら口にするのが恥ずかしくてできなかった自分とあの時期もうタカラジェンヌに絶対なる」って断固たる決意を持って受験していた「タカラヅカが大好きで」なったジェンヌさんたちとのポテンシャルの差がすごい。

 それはやっぱり、この趣味は誰にもいえないから自分の中でこっそり楽しんでいたうららさん(=私)、この世界すっごくきれいね!!私大好き!!みんなも読めばいいのに!!(あなた書けばいいのに!!!)と無邪気に人にすすめられるユキさん(=望海さんに代表する好きが講じてなったタカラジェンヌ(あの世代))に重なる。

 眩しいよ、今も昔もそのユキさん種族の人間は眩しいですよ。好きなものを好きって大声でいえる人って、言えない人から見たらものすごい才能を持っている人に見えるんです。だから私はうららさんの気持ちがよっくわかる。 

 それがね、今じゃもう大きな顔して「宝塚観劇が趣味です」って私も言えるようになりました。静岡の田舎でも。素晴らしい、生きやすい世界になったのよ。

 もうそれもこれも、宝塚歌劇がここまでの日本を代表する劇団になってくれたのと、引き上げてくれたタカラジェンヌの実力の賜。ありがたいわ…ほんとありがたい。尊い…!!(はい、いつもの。)

 この映画を通してタカラヅカに感謝しているのは私くらいでしょうが、それでも感謝したい。今の私があるのは、タカラヅカ、おいてはタカラジェンヌのおかげです。

 あの時、大声で言えなかった自分にこの映画を、そして今の自分を見せてあげたい。 思春期の私はそうやって、縮こまって好きなことを好きと言えなかったけど、何十年後かにはこうしてすごくいい笑顔で仲間と好きな話で大笑いしている。

好きこそものの上手なれ。

継続は力なり。

その先には、仲間がいる。

 だからうららさんも頑張れ。頑張って生きよう、好きなものを愛でながら。そうしたら絶対、わかってくれる人が現れる。

 コミケがパワースポットというコメダ先生(古川琴音)の話もうんうんとうなずくわけです。私も…私も大劇場がパワースポットです…!!(走馬灯のように思い出す、様々な思い出たち…←あたい、もうそろそろ死ぬのかしら…?)

 

日常が戻ってきた。生きやすい世界になってきた!!

 思春期全盛期のうららさんを見てると、わかるわかるわかるよその道通ってきたよ~!!ってちょっと自分の痛くて柔らかいところをつつかれるようで苦笑いしちゃう。

 最初、好きなものを好きって言うのってすっごく勇気がいる。

 次に、好きなことを好きでい続けることってすっごく難しいことに気づく。

 仕事のほうが続けられるのかもしれない。大人になると、やらなきゃいけないことをやるほうが実は簡単で。楽しみだけしかない趣味はどうしてもおざなりになる。

 後回しにして、まあ、ないならないなりにできてしまう。じゃあなくてもいっか。そうして少女のときに大事にしていたもの、時間、私たちは忘れてしまう。本当に楽しかった気持ちも、懐かしいなと思い出す時間もないまま慌ただしい生活を送ってしまう。

 …でもそれにしては人生はあまりに長くて、正直つまらない!!!

やっぱり私は、何か面白い作品があったら「私ここがやっぱり好きでね」って語りたい。

でも「なんだかここは本当に理解不能で、あなたわかる?」って人に聞きたい。

「この主人公、もう性格最悪だけどなんかもう○○ちゃんがやると目が離せない」って褒めちぎりたいし、「ねえ~~~~あの後列一番左で踊っている子は誰!?」って騒ぎたい!!!

 でもそれは、やっぱり「同じ学校だったから」とか、「近所でずっといっしょだった」とか、「同じ職場で働いていた」だけの友達とは騒げない。そういう友達ももちろん大事。そういう友達としかしゃべれないこともあるから。

 でもオタ友も同じくらい大事で。人生の喜びも悲しみも、ふわっと沸き立つ高揚感や指折り数えた観劇日を共有できる人であり、日常から離れた場所でつながっていることってとっても大事。

 うららさんも、日常で思い通りにならなくても、ユキさんに会うことを考えただけでなんだか「ま、いっか」って思って次に進む。「ドラマが楽しみだからせめて洗い物はしよう」そういって笑う母親の気持ちもわかる。

 人生の伴侶が先立って人生になんの楽しみも見いだせなかったユキさんも、あの世に行くのを先延ばしにするほど楽しみにすることができた。「寒いからやだ」っていってたノルウェーに行っても、うららさんとの話は尽きることなく、終わらない。

 

 「これが好き」で始まった女性の友情は、年齢も超え、海も超え、時間も超えておしゃべりできる。あれがいい、これもいい、あれはちょっと苦手で、あれはもういい。そんな話はエンドレス。今の公演はもう見た?今誰が好きなの?あの公演のあの人よかったよね?あの衣装は最高でした。沼がすぎる!!そんな話を延々と。

 趣味ってなかなか続かないものでもあるから、「もう今はいいかな」と思っても、また時間が経って、ばったり会えばいつもの調子に戻れる。それがオタ友。だから安心して。時々休んで、会ったらまただらだらおしゃべりしよう。

 

 好きな話を、好きな人と好きなだけできる時間がようやく戻ってきた。

 これは最強シスターフッドの話。うららさんとユキさんの話。あなたと私の話。

 これを見た後きっとあなたも、誰かに話したくなるはず。ねえねえあれ見た?って。