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星組「ロミオとジュリエット」役替わり総括!!

どうもみなさんこんばんは、帰りの新幹線でビール3本ほろ酔いあくるです
(ほろ酔いどころかメールで空風さんに絡んだただの酔っ払いです)
(最低)

さて、今回my楽を迎えました星組ロミオとジュリエット」。
自分的にBパターンを先に見てしまい、今回Aパターンを見て
「やっぱり役替わりってーのはあれだな、その上演された順に見るのが一番だって
自動的に諭されてるんだな、劇団に」と思った次第です。
つまり、「A→B→A」で三回見るのが正解だったんだと思う。

けど、どちらもすごくよかった。いい役替わり公演だったなって最終的に思える、
今の星組さんの最高の再演でした。
正直、最初は再演ってどうなんだろう、というのが本音だった。
伝説の初演を創り上げた星組さんだからこそ、やらない方がいいのではないか。
初演の主人公ふたりはかわっていなくても、ライバル、重要クラスを演じた上級生が抜けている
(ティボルトを演じた凰稀かなめ、重要人物のベンヴォーリオ涼紫央。特にとよこさんのベンは
好演だったため二回目を演じる人は荷が重いんじゃないかなあ・・・と)。

【ベンヴォーリオの役替わり】

今回の役替わりは二番手紅ゆずる、
そして今回のダークホース・新公学年礼真琴がベンという驚きの配役。
フランス版ロミジュリ(イケコ演出シリーズ)の宝塚版は初演・再演、
ベンは主人公のロミオの同期(雪組・未涼亜希)か、上級生(星・涼紫央/月・星条海斗)が
演じているため「ロミオよりちょっとお兄さん、か、同じくらい」イメージが強い。
星組再演は結果、「ロミオより学年が下」という配役になり、
「ちょっとベンのイメージの「ロミオより常識人で冷静沈着」っぽくないのでは・・・」と思っていた。
とにかく過去の再演の「お兄さん」イメージがつきまとう。
演出ではとにかく常にケンカの仲裁役だし、「世界の王」では大人っぽい高音の歌唱力が必要、
名曲ソロナンバー「どうやって伝えよう」はひとりで劇場の空間を埋めなくてはいけない難曲。
お衣装も落ち着いた色を着るし、「モンタギュー家の兄貴分」感を出さなくてはならない。
紅さんはともかくとして、ことちゃんはまだ未知数というか、正直「あんまり知らない」。
「実力的に無理です」なのではなく「知らないから不安です」という感じだった
(新公見てる人はそうでもなかったみたいだけど、私はことちゃんの演技を初めて認識したのは
前作「めぐりあいはふたたび2nd」なので)。

ことちゃんの演技には次回触れるとして、今回のベンは変にロミオよりお兄さんぶらなかったのが
よかったと思う。紅さんもことちゃんも変に大きな態度をとったり、ロミオよりえらそうにしなかった。
過去の再演は「学年から自然とそういうオーラ、生き方のアドバイスをしたりおれが教えてやらなきゃ感」
が出ていたのがまたベンの役割として雰囲気が出ていたのだけど、今回はあくまで「同等の親友」雰囲気。
それが「世界の王」の盛り上がりに一役買い、「仲間感」が一気に出た。
「一緒の大学の同志」っていう感じ。過去の再演の雰囲気は「大学のサークルの先輩」ぽかった気がする
(個人的なイメージ)。

危惧していたソロナンバー「どうやって伝えよう」は紅さんもことちゃんもロミオへの「おせっかい」ではなく
(これ、ナウオンでも言われてたけど冷静に見ればほんとーにおせっかいというか、早とちりもいいところ。
このナンバーのせいでロミオは先走って死んでしまった)
(でもこれを言うとこの「ロミオとジュリエット」自体のお話の意味を問うことになり、
シェイクスピアってさ、というお決まりの話になるのでここでは触れない)←触れてるし!
「本当に親友を心配し、悩み、ベンは苦しんでマントヴァに向かって真実(ではないけど)を
ロミオに話すことを決意する」感じがふたりとも出ていて非常に素晴しかった。
歌も安定していて、聞きやすかったし。感動しました。

あと、初演の涼さんを思い出させる短髪プラチナキンパにしたことちゃんが個人的に嬉しかった。
もちろん、紅さんの短髪パーマもかっこよかったよ。ちょっとリーゼント風な。
こういう古典の現代風をやると個人のセンスが問われるから男役さんも娘役さんも苦労するだろうな・・・と
おせっかいなこと考えてみた。

【今回の公演は「若手の堂々とした委縮ない演技」】

本当に星組さんは層が厚い!!いい逸材がそろっている。
今回大役を演じた礼真琴はもちろん、死/ティボルトを演じた真風涼帆も
まだ新公をこの前卒業したばかりだし、役替わりの死・麻央侑希もまだ新公学年。
モンタギュー/キャピュレット両家の若者チームは若手の宝庫だけれど、全員それぞれ
役を創り上げていてキャラが立っている。髪型はもちろん、目線、相手役(赤、青)に対する態度、
見ていて本当に面白い。見るたびに成長しているのがわかって楽しいし、
釣り師もいたりして「若手の顔は覚えたお気に入り」が見つかるいい公演。
宝塚はこれが見つかるとがぜん公演が楽しくなるのでビギナーさんにもオススメ。お話は有名だし。

そして、今回星組の若手が実にのびのびと自由に演じているのがバシバシ感じる。
「上級生にここまでの演技をしていいのだろうか」という「先輩への遠慮」があると
見ている観客はとたんに冷める。宝塚は特に「学年順」が徹底しているので
「こうやったら怒られる」や「ムカッとされるかも」と思い始めたら集団行動の時はそれは必要かも
しれないけれど、演技をする役者としては向いていないかな、と
思わざるを得ない。今回若手の抜擢が多いだけに、「委縮した演技」への不安が大きかったのだが
堂々としていて、上級生はもちろん、下級生も期待の演技力を見ることができ
あらためて星組さんの分厚い役者層を感じられてとても楽しかった。

うーん、星組、恐るべし。

【「死」と「愛」の役割】

シューイチローコイケ演出の必須アイテムとなりつつある「影」、「つきまとう死への恐怖」。
もちろん確立されたのは「エリザベート」であるが「ロミジュリ」の「死」と「エリザ」の「トート」は
似ているようで違う存在。

「エリザ」の「トート」は「死を愛する」というのがテーマの「人間化」されている「死」。
文章でいう「擬人法」という感じかな、と個人的には解釈している。
「死を愛する」=「死ぬ」というエリザベートと「死」の愛の物語(と私が説明しなくても
みなさん知ってらっしゃると思います)(酔っ払いのうざい説教)

ただ、「ロミジュリ」は「愛する」とかじゃなくてもうぶっちゃけて「死」。
文章にすると「書かれない存在」だと思います。
「彼は死ぬのが怖かった」とかそういう感じでただ文にするだけ。
ただの「影」です。人間だったらごくごく当たり前にもっている。
だから、他の演出家だったら役を作らないかもしれないし、作ってもスターを配役しないかも。
(ここでいうのは星組三番手(真風)に配役しない役ということ)。

ただ、鬼才シューイチローコイケ、そこはちょっと違う。
ポジションをスターにし、ロミオとデュエットを踊らせる。そして、しゃべらせない、歌わせない。
初演では真風はしゃべらなかった!そういえば!!パレードないしそれで自然だった!!という。
逆に大劇場で真風が演じることにより階段降りが真ん中で歌を歌いだすときに
初見ものすごーく不思議な感じが・・・。
「あ、あの子しゃべってる!!」「真風歌ってる!!」みたいな(笑)
失礼極まりない不思議な感じを得た・・・。まるで「この子初めてしゃべったの!!」という新米パパママのような感覚に。

そして、特筆すべきのは「愛」の存在。

個人的に、考えた人(フランスのジェラールさんか小池かは知らないけど)すごいと思う。
「エリザ」には当然必要ない存在だもんね、「トート」を二分化させてる感じだし。
「愛」が登場することにより、ロミオとジュリエットの「恋愛」の「愛」の場面がぐっとわかりやすくなったし
この「愛」が登場するとどこか幸せな気分になれる。だいたい、ロミオとジュリエットが幸せな場所に
出てくるし。そして「死」とデュエットを踊らせることによりロミオとジュリエットが常に危険で
死と隣り合わせのまさにドラマチックな「命と命の恋愛」が描き出される。
まー最初はただの敵同士の息子と娘の恋愛だったんだけど、「ナイフ」が出てくるあたりからヤバくなってきたんだよね。
人殺しという犯罪が出てきちゃったから、「ただの恋愛」で終わればよかったのに「死」とか「罪」とか
重いものを「毒」」によって解決しようとしちゃったっていうね・・・。

そんなことを言いだすと「なんでこれがシェイクスピアの最高峰?」と始まり、個人的に
「なぜ「グレート・ギャツビー」はアメリカ文学最高峰なのか?」となり
「なぜ「源氏物語」は日本で教科書に出てきて試験問題に出されるほどの恋愛物語なのか?」となるので
そろそろお開きにしたいと思います。

ここまでわけのわからない理屈をこねまわしてすみませんでした・・・。
酔っ払いは寝ます。しっかし、ほんと長いな・・・これも愛ゆえ!!(ということにすればいいと思ってる)

次回、出演者役替わりAパターン個人的感想!!
明日に続く!!!

【【【ティボルト・紅ゆずる/死・真風涼帆/マーキューシオ・壱城あずさ/ベンヴォーリオ・礼真琴】】】

いやほんとよかったよAパターンも。
星組Pマジ敏腕すぎるって。仕事できすぎるって。あとシューイチローコイケの鬼才ぶり?
この人のオーディションいつやってんの?ってくらい練ってくるよね・・・忙しいはずなのに・・・
シューイチローコイケのような目があったら人間的なものとか見透かされてる気がして
上司には最悪のパターンだよね・・・見る目がありすぎるって怖いよね・・・

でも演出家の場合演技力とかスター性を見極められることはできても本質的な
性格は見抜けなかったりするのかな?
私全然見る目ないのでコイケに目を入れ替えてほしい。
と、いうかうちの会社の人事部の目と交換してほしい。(バイトやめすぎ)