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ようこそ、グランドホテルへ。➂それぞれの人生。それぞれの道。チェックアウト。

私は感想は3記事まで、と決めています。

 

その昔恩師に言われた、心に残っているひとこと。

 

「自分が楽しい、よかった、すごい!と思う話は1時間以内に

まとめること。

自分が嫌だな、ここダメだろ、許せない!と思う話は自分が信頼している人だけに

話すこと。」

 

私の記事の場合タカラヅカに興味のある人しか見ていないだろう、という

ブログなのでいい作品!この人ステキだった!と思う人の話を延々としても

まず問題は起きないだろうけどもその価値観に正直ついていけない人もいるわけで、

この恩師の話は本当にそのとおりだなと思うわけです。

 

私はグランドホテルにめっちゃ感動してこの感動をブログに

残したいと書いているわけだけども

正直この公演も宝塚の一作品だし、月組の今年の通常公演といえばそれまでです。

私は自分がいいな、大好きだな!と思ったことは永遠に話せますけど

長くなりすぎるとその感動も無意味です。だってウザいとか、飽きたしか思えないもんね。

何事も長くなりすぎると。

 

というわけで本編をさっさと書いて、自分ルール「感想は3記事まで」を守ります。

今回で私はグランドホテルからチェックアウトします。

忘れ物はないかな?語り漏れはないかな?今一度確認して、

次の目的地(ターゲット)に向かうのだ。

 

 

美弥るりか / 

地位も名誉もないけれど、金と人を思いやる優しい簿記係

 

美弥ちゃんは、誰に対しても優しいね・・・(ハンカチ)

 

とオットーに美弥ちゃんを重ねてしまうほどには私は

「オットー可愛い党」です。なにあの生き物は。可愛い以外なんと表現すればいいの。

 

まず登場で回転扉からとぼとぼ歩いてくるの可愛いし、

あの低音イケメンボイスを封印してちょっとどこから出てくるのその声(震)ってなる

のも可愛いし

この世界はお金に困っている人しか出てこないのに

唯一持ってるのに全然金持ちっぽさゼロだしバーにぶら下がっても

バー折れないから「美弥ちゃんが軽いの!?バーの強度が強いの!!??」って

わかんないのも可愛いしそもそもパーマにメガネにチャップリン帽子も

わけわかんないほど可愛いしあれ?美弥ちゃん運動音痴でしーらんに

90周年運動会の時「ちゃんと走ってよ(怒)」って怒られてたのに

バーを軽々飛び越えてチャールストン踊れちゃうしあれ??美弥ちゃん??

 

み!や!ちゃ!ん!!!!????

 

ってなることのオンパレードすぎる。可愛すぎるのは時に罪だよ、美弥ちゃん。

しかも可愛いのにそれをひけらかすわけでもなく、ラスト絶対泣くんだよ。

 

最後のオットーの言葉でマチソワで泣いて私を心配したのか(?)

一緒に観劇していたYちゃんは新大阪までついてきてくれたよ!!!!

(いつもYちゃんありがとう!!!)(ごめんな!ほんとにごめんな!)

 

「僕、生まれたての赤ちゃんを見るのは初めてなんだ。」

「楽しみだなぁ~・・・」

 

とか、美弥ちゃんのあの変声期のようなオットー声で言われるなら

わかばもうみちゃんも幸せになれること間違いなしってもんだよ!!

 

ああ!!!!美弥ちゃんに関わる人生を生きたかった!!!

 

とまで思いつめましたよ私は・・・病気だよね・・・知ってるよ・・・。

今思い出すと、「1789」でも私は結構な美弥ちゃん病をこじらせていたんですよ。

 

月に一度は、美弥るりか。

 

くらいのペースで。なんなんだろうね~~、私にとっての美弥ちゃんって。

たぶん美弥ちゃんのその素のキャラクターも好きなんだけど、

美弥ちゃんの作り出すキャラクターもたまらなく好きなんだろうね。

美弥ちゃんって、スマートじゃない。生みの苦しみをあんまりひけらかさない。

 

「役作り結構しんどかったです」

 

とはまあ言ってる気がするけど、舞台に立つと結構余裕しゃくしゃく!な

立ち姿なんですよね。すん・・・っと立っている。

そこまで到達する努力も語らないし、「大変だったんだから」ってすごくいう人だけど

実はその「大変」な部分は身をもっては語らないよね。

 

それが美弥るりかの、オットーでした。

 

すっごく難しいキャラクターで、美弥ちゃん自身も「オットーはこうであらねば」

みたいな縛りにがんじがらめにされて(ファンの人のサヨナラ公演の役をやるって

なかなかないことですよ・・・)苦労しただろうけどその苦労は舞台では語らない美弥ちゃん。

 

私の好きな、美弥るりかさんでした。

 

バリッバリの二枚目スターがくたびれた役をするとこんなに魅力的なのかと

思うともう、全組の二枚目スターのくたびれた枯れた役見たくなってくるから

美弥ちゃんはやっぱり罪な男役です。

 

しかし、オットーは可愛すぎた。男爵もチャールストン一緒に踊りたくなるし

フラムシェンはこの人と歩んでいこうと思うよ。

 

たとえ、ナチスドイツのユダヤ迫害の足音が近づいてこようとも。

 

 

華形ひかる /  忙しすぎて、間違いを起こしてしまう社長

 

 

初演は箙かおるさんだったというプログラム情報に納得してしまう

プライジング社長。
あの歩くタカラヅカのエロの帝王・チャルさんの役をなるようになったかあ・・・

みつるくん・・・となんだか感慨深かった。

 

感慨深かったのも、つかの間だった。

 

わ、私の知っている(爽やかでどんな雨の日も風の日も神対応の「世界の彼氏」)

みつるくんがセクハラ(という名の犯罪)を行う日が来ようとは・・・

タカラジェンヌは歩いてみないとわからないものですね・・・

 

たぶん、プライジング社長は忙しすぎたと思うんですよ。

あっちこっちと取引して、身を削って金のために奔走して。

アメリカから閉鎖的なベルリンのグランドホテルに滞在しているのも、

金儲けに走りすぎてヤバいレベルまで引き上げてしまった自分からの逃げなのかな。

身動きが取れなくなって、もともとそういう人だったけど

せき止めていた「社会的地位」がなくなりそうになっているときに

ふらっと現れたのが、ちょっと可愛くてちょっとエロくておつむが軽そうな

金髪でミニスカートをはいているフラムシェンだったんですよね。

 

なにもかもうまくいかないときは、いつもと違うことをしたくなるのが人間だけれど

それも犯罪だと話は別になってくる。

そして、社長は人間にとって最大の罪である犯罪を起こしてしまう。

 

若くて希望に満ち溢れた青年を殺してしまったのだ。

 

真実の愛を捧げる人と行ける場所まで行くために、金が欲しかった、男爵。

やりたい放題やってきて、とうとう行き詰まり金がなくなった、社長。

 

金が欲しくて犯罪を続けていた男爵。その男爵を殺した社長。

 

男爵はスーパーマンではないけれど、あるひとりのプリマドンナを救った。

希望を持たせた。明日への未来をつなげた。

 

さて、社長は誰を救えたのだろうか。

 

社長は、この物語で一番救いようのない、いや、救えない人物なのかもしれない。

哀しい社長の人生を線をなぞって歩く華形ひかるが「二枚目スター」から

「役者」という名のもとに核となる人物を演じているのが胸に突き刺さった。

 

そうか、みつるくんはこういう役ができる男役になったのか。

 

 

朝美絢 / ひとつの希望のひかり(エリック)

 

みんなに「よかったな」とこの物語で唯一声をかけてもらえるのが、エリック。

仕事はフロント係。一番最初にストーリーを動かすのがエリックで、

最後、この物語に希望の光を与えてくれるのもエリックだ。

 

オットーはいう。

 

「僕は、生まれたての赤ちゃんを見るのは初めてだ」

 

エリックはあの電話のあと、シガレットケースを生まれたての赤ん坊に

見せるのだろう。

 

「優しくしてくれた男爵がくれたんだ。きれいだろう。

お前は、あの男爵の生まれ変わりかもしれないねーーーーー

きっと、優しい子になる」

 

あーさのエリックは優しくて、フロント係という魔の仕事をこなす「社畜」。

子どもが生まれるからといって、帰れる環境ではない。

帰してくれる優しい上司もいない。ただ仕事を淡々とこなすだけ。

 

最後のエリックが電話で話す言葉がひとことひとこと、リアルでちょっと不慣れで。

子どもの声を「雑音」といったり、子供に慣れていない様子がリアルでちょっと可笑しい。

 

最後、ふっと微笑むあーさの笑顔を見たら、

誰もがきっとこのグランドホテルにまたチェックインしたくなる。

 

 

海乃美月 / 幸せになりたいだけの女の子(フラムシェン)

 

チャールストンを陽気に踊りながら彼女は夢みる。

 

お金がいっぱいあって、毎晩おいしいものを食べて、踊って、歌って、

やりたいことしたいこと全部するの!そうじゃなきゃ、人生楽しくないでしょう?

 

思ったことをいい、楽しいときは楽しいといい、踊りたいと思ったら踊り続ける。

ちょっとオバカだけど、誰にでも優しい、そう、オットーにだって

優しくできる「あなた、ダンス上手ね!」といえる子。それが、フラムシェン。

 

フラムシェンはお金には困っているけれど、そりゃあったらいいなとは思っているけれど

漠然と「いつかお金が降ってきたらなー」程度にしか思っていないところが

フラムシェンで、一方でリアルにお金を君にやるよと言われると

自分の体を売ろうとするまでお金に困っているのも、フラムシェン。

 

ただ、ちょっとでも楽しい幸せな人生を送りたいだけなのに。
どうしてスターになることを諦めなきゃならないの。
私が私であるために、お金が必要でなにが悪いの。
 
フラムシェンは突き抜けた明るさが必要で、人生を生きるのが下手。
だから男爵に口説かれるとするっと身をゆだねるし、社長のいいなりにもなる。
 
きっと、フラムシェンは本能的に感じたはず。
本能のまま生きている子だから。
 
オットーへ素直な気持ちで言った、「あなた、ダンス上手ね!」
 
そのひとことで、オットーは救われたんだ。オットーの
灰色の世界が、チャールストンが流れるカラフルな世界に色づいた。


赤ん坊は、誰似でもかまわない。フラムシェンの子だから、

きっと可愛くて無防備で、オットーは心から優しく赤ん坊に接してくれる。

フラムシェンはちょっと足りないところはあるけれど、足りないところは、

オットーが足してくれる。そうして、オットーとフラムシェンの足跡は

同じところを歩いていてくれれば、それでいい。

 

 

紫門ゆりや  /  正体は、不明。

 

 

数々の妄想が飛び出した「グランドホテル」。

 

それでも、考えても考えても結論が出ないのが、「ジゴロと盲目の伯爵夫人」です。

彼らはしゃべらない。歌も歌わない。誰かに絡むこともしない。

ただ、ワルツを踊り続ける。

 

もしかして、登場人物には見えていないの?

幽霊?亡霊?時々着替えて彼らは踊り続ける。誰のため?

 

ただ、優美に踊るゆりちゃんが美しくて、いるだけで活きること、

物語に息づくことができることを、教えてくれたジゴロでした。

 

ゆりちゃんは、いつも優雅で美しい。

 

余韻を残せる男役です。