TRUNK DIARY -ナナメカラタカラヅカ-

宝塚見て早半人生。まだまだ未知の世界すぎて幸せ。

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北翔海莉・妃海風退団。鬼の経験スキルとキュートなガーベラ。

私はへそ曲がりだ。

 

「書け」といわれると「書かない」こともあるし、

「期待してるね」といわれると書く気がなくなるときがある。

逆に、そんなネタでそんなに書ける?と思われても仕方のない

ブログの書き方もしていると思う。

 

タカラヅカブロガーのはしくれとしてかなりの「へそ曲がり」だ。

 

最近常々言っているのが、「書きたいことを書きたいときに」というフレーズ。

あくるさん最近よくいってるなーと思われる方も多いと思う。

それは自分を守るための言葉であり、批判とか中傷が怖くて、

「書け」といわれることが嫌で、このブログは私の居場所だからという

意味の解らない言い訳をずーっと並べ立てることで自分自身を守ってきた。

 

私はいつのまにか、とてもワガママで自分の思い通りに行かないと

嫌な最低な人間になっていた。宝塚が大好きだから、宝塚のことを

書くことで嫌な思いをしたくない一心で私はずっと

「書かなきゃいけないことから逃げる」ということを当たり前にしてきた。

だからずるく、逃げることで批判されることを避け、目の前のいろいろな

課題を見て見ぬふりをしてきたのだ。

 

私と全く逆の人間が、北翔海莉だったと思う。

 

まっすぐで、逃げることもなく、批判や中傷から逃げることもせず、

芸事に打ち込んできて、トップになったのがたまたま星組で、

図らずともそれがレジェンド柚希礼音のあとで、まだまだちえねねロスが残る

宝塚で出発しなければならなかった北翔さん。

 

どれだけ心細かったか、どれだけ非難を受けたか、どれだけ星組

自分の居場所を作るのが難しかったか。

 

屈折21年という年月を聞いて圧倒された。

宝塚音楽学校は成績は最後からのスタート。

中卒一発合格で、周りには知り合いも友達も誰もいない。

宝塚を全く知ることもなく0からのスタートで、慣れない環境に知らない芸事。

 

やっと人生の底かもしれない2年の期間を経て、劇団に入団したらしたで

月組下級生時代から抜擢が続く。

スターひしめく月組で、生きていくことがどれだけ大変なことか

私はまだ知らないのかもしれない。そんな世界は経験したことがない、

ずっと温室育ちの私にわかってたまるかの世界なのかもしれない。

 

北翔さんエピソードは驚くことの連続で、「超人」的な人生を歩いていると思う。

私は積極的に調べたりはしないほうなので、たいていグラフや歌劇の読み物の

流し読み程度でその人のひととなりや趣味などを知る程度なのだが

北翔さんの言葉でびっくりしたのは

 

タカラジェンヌはつぶしがきかない」

 

というコメントをされていたとき。

 

あれだけ踊れて、歌えて、芝居ができるのに「タカラジェンヌはつぶしがきかない」と

思っている人がいる。

 

衝撃だった。

 

手に職をつけている人たちのプロフェッショナル集団だと思っていたら

北翔さんはそうも思っていないらしく、人生のギリギリを歩んでいる、という

発言をする。それが北翔海莉だった。

 

北翔さんは考えてみればいつもギリギリの崖を走っているような人だったと思う。

 

若手時代は「何にもできない」のに

(本人談で周りは「できるから」その位置だったと思うのだけど)

どんどん番手がいい役が付く。

 

宙組時代は「スターから外された」と思われるような役付きが続く。

 

脂がのった研10過ぎたら専科に異動、いろんな組を渡り歩く。

トップスターが下級生でも、「専科だから」とオファーがあることに感謝する。

 

北翔さんは私にとってとても不思議でそしていい意味で「フラット」な「超人」。

下級生のトップスターがいる組など、それなりに新公主演や

バウ主演を張った人間ではなかなかプライドが許さないことではないのか。

 

北翔さんなら、「私は出たくありません」とNGを出せばいいことではないのか。

 

でも、北翔海莉は違う。

 

「出てほしい、と私に思ってくださる先生方に感謝」

 

という。

 

小池さんのヒステリー爆発の「眠らない男 ナポレオン」に出演した時の役、

タレーランの衝撃が今でも忘れられない。

 

ウェーブがかったロングヘアに気味の悪い唇の色、敵か味方かわからない

立ち位置で怪しくナポレオン政権を動かすキレモノ。

 

タレーランが出てくるたびに緊張し、歌は耳に残る。

こういう人が役者なのかと小池さんのどうしてものオファー、

タレーランはみっちゃんしかいない」の言葉がわかった。

 

「この役はこの人しかいない」

 

と思われる存在。役者の最高峰なのかもしれない。

私は役者になったことがないからわからないけれど、北翔海莉は

月組宙組、専科を経てそういう存在になった。

 

ひとりではなく、みんなにそう思われる存在。

北翔海莉の力は宝塚の力になる。

 

鳥肌がたつ。

 

私は北翔海莉の記事は書かないつもりでいた。

それは、自分の文がとても滑稽で、拙い荒い、ど素人のただの乱雑文に

なることがわかっているからだ。

一生懸命見栄で固めていた自分のブログが北翔海莉という人を書いたら、

その守っていたものを簡単に崩されてしまう。

 

北翔海莉を書くと、私はただの子どもだ。

 

ワガママで自分の思い通りにいかないと不機嫌になる子供の文章になってしまう。

 

北翔海莉が大人で、経験してきたことは絶対無駄にはならない、

専科生としてオファーがある限り、必要とされている限り

私は宝塚の舞台に立ち続ける。

 

一方で「今度の公演でやめよう」とずっと思ってきた、というエピソードも

とても人間らしくてこの人のチャーミングなところかもと思う。

 

いつ辞めてもいいように、そう思って「挑戦」してる、という話を聞いて

一瞬ネガティブに思えたけど、それは違うんだと思った。

 

考えてみればお料理も組子とのコミュニケーション力になる。

サックスはオーケストラの人ともつながりを持てる。

フラメンコはダンススキルの一部となり、これから舞台に役立つかもしれない。

 

全部北翔さんの身となり、血となり、脈打っている。

 

人生に必要がない経験や、無駄なことなど一切ない。

 

その顔に嘘はなく、北翔さんは宝塚人生を全うしようとしている。

千秋楽が来るその日まで、北翔さんはずーっとこのスタンスを守り続けるだろう。

星組に北翔海莉の時代があってよかったと、思われる日が必ず来る。

 

そう暗示するかのように、相手役の妃海風の同時退団の速報を知った。

 

 

北翔さんの相手役が突然決まり、それが風ちゃんだと突然知らされ、

そして突然辞める決断を私たちに知らせた風ちゃん。

 

なんて風ちゃんらしいのだろう。

 

「転ぶなら、前のめりで転ぶ。ジャンプするなら、天に届くまでの高さで飛ぶ」

 

という文章がしっくりくる風ちゃんは宝塚らしい可憐なカスミソウタイプの

娘役ではないけれど、宝塚の娘役らしい心意気を持った一輪のガーベラのような

キュートな持ち味の華やかさをもつイメージ。

 

花束にすると、より一層可愛く輝くガーベラ。

いろんな妃海風をまとめて可愛くあしらうと最強アイテムのひとつになる。

その可愛さからよくウエディングにも使われ、人々に愛され幸せにする。

 

いつも風ちゃんはハッピーで、キュートで忘れられないガーベラ。

 

トップ娘役になってなかったらどういったタカラジェンヌになっていただろう。

そんな想像を掻き立てられる希有なトップ娘役でもある。

 

でも、きっとこれでよかった。

 

無駄な経験など一切ないと教えてくれた北翔海莉。

 

人を愛することで幸せになれることを証明してくれた妃海風

 

みちふうコンビ呼ばれた星組トップコンビは、11月の千秋楽まで

実力と天性のタカラジェンヌスキルでその道を全うする。

 

たった3作、されど3作。

 

私の根性を叩き直してくれたみちふうコンビに

今は感謝の「ありがとう」と、素直に書けなくて「ごめんなさい」。

 

残暑厳しい中、私はまた花の道を歩いているはず。

そう、「根性を叩き直してもらい」に行く。

 

経験というスキルがスカイツリーなみに高い北翔海莉と、

キュートで笑うと元気がもらえる妃海風、そして星組さんのエネルギッシュで

星組公演でしか味わえない熱さをもらいに新幹線に飛び乗っている。