TRUNK DIARY -ナナメカラタカラヅカ-

宝塚見て早半人生。まだまだ未知の世界すぎて幸せ。

夢乃聖夏、その人は強くて優しいから、太陽が似合う。

大人げない、と思いながらも休憩室で泣いていた。


なんだよ、死ぬわけじゃない、と思うのに、涙が止まらなかった。


どこかで夢乃聖夏は生き続けるし、あの笑顔にも簡単に出会えるかもしれないと思うのに、

思い出すのはいつもニコニコと早霧さんの挨拶を一歩引いて見守る、

宝塚歌劇団の太陽だった。


夢乃聖夏が退団する。


はっきりいって、私が見ている間にそれはありえない、と思っていた。

なんの根拠もなく、学年とか年齢とか、スターであるとかないとかの前に、

彼は永遠に沈むことのない太陽みたいな暖かい存在だったから。


だから、私にとって夢乃聖夏は「いじれる」ジェンヌさんだった。

もちろん、「大好きだから、いじれた」。

このブログの過去記事を遡って見てみると、私はたいがいひどい扱いを

夢乃聖夏さんにしていた。誰よりも太陽で、暖かい存在だったから、

ともみんだったら笑って許してくれるかな、なんてちょっとどこか心の隅で思ってた。

私もひどいファンだよね。ともみんに120%甘えてたよ。


星組で出てきたときは、「ちえさんに顔がそっくりの子が出てきた」だった。

申し訳ないほどその印象しかなくて。

けれど、その当時誰もが思っていた「ああ、あの柚希礼音に似た子」という認識を

跳ね返すかのように、夢乃聖夏は階段を駆け上がっていった。


誰よりも、熱く、誰よりもハートフルな芝居ができて、

ショーでは誰よりも長い脚を誰よりもあげて、ロケットでもすぐに見つけられる、

「えっ、あの体の構造おかしい子でちえに似てる子誰」となる、

オペラ泥棒の下級生夢乃聖夏すぎて「星組にきたらいて当然」の存在すぎて。


そこでも、私は夢乃聖夏に甘えてた。


思えば、夢乃聖夏はいつもプレッシャーとか、期待とか、劇団の圧力とか、

演出家のエゴ、そういうのを一身に受けてきたある意味

「柚希礼音より無言のプレッシャーを受けてきた」タカラジェンヌではないだろうか。


ちえさんと比べるのはおかしかもしれない。

双方に失礼だと思うけど、ここであえて言わせてもらえば、


「陽のプレッシャーをかけられ、真ん中に立つために育てられてあげられてスターになった柚希礼音」


と、


「陰の圧力を与えられて、脇でも光るスターになった夢乃聖夏」。


どちらが正しいとか間違っているとかではない。

星組、という同じ環境で育ち学び助け合い、同じ釜の飯を食い

同じ仲間と感情を共有しながら育ってきた、「仲間」というよりは「同士」のふたり。


「私はとてもちえさんが怖かった」


と、笑いながらちえさんとグラフで対談してたよね。


でも、ちょっとの時の歪みで学年が下になっただけで、きっとちえさんも

夢乃聖夏が脅威の存在だったんじゃないのかな。


夢乃聖夏は、あまりに無邪気で、とても芯のある強い子だったから。




私が気づけば夢乃聖夏は、雪組にいた。あんなに星ッ気の強い人だったのに、

雪に溶ける星はなじむのがいい意味でとてもはやかった。

違う環境に馴染めるひとほど、強い。夢乃聖夏の底力を見せつけられた。





新公やバウで真ん中の経験があるというのは、とても強い武器である。


けれど、それがすべてじゃない。


トップスターだけが、スターじゃない。


トップだけひとり頑張っても、物語は作れないし、ひとりで作り上げられたとしても、

それはつまらない。


夢乃聖夏自身が強くて、明るくて、屈託なく笑える子で・・・

だから、ランベルトが生まれた。バイロン伯爵が生まれて千吉が生まれて、

ジェローデルが生まれてドニーが生まれて重太夫が生まれてフランソワが生まれた。


書きだせば簡単なこと。


夢乃聖夏は、いつでもどこでも輝いていた。舞台の真ん中ではなくても、

いっつも楽しそうに、笑って踊って、歌っていた。


昨日まっつさん退団から封印していた「BJ」を見て、最後にもう一度

「コンタカ」の「カンカン」を見た。



そこには、最高に太陽の夢乃聖夏さんがいた。



人には、心のスターがひとりはいる。

それはタカラヅカであったり、ジャニーズであったり歌舞伎であったり

アイドルであったりアニメの登場人物だったりする。


そして、その人間の「心のスター」は必ずしも「真ん中に立っている人」ではない。


宝塚ではトップスター、ジャニーズは真ん中でカメラが映してくれる人、

歌舞伎は見得を切る人。アイドルは総選挙で一位の人で、アニメは

一番強かったりする人かな。


けど、それだけがスターではない、ということを、私が忘れかけてたことを

夢乃聖夏は教えてくれた。


真ん中に立ったことがあるから、強く。


真ん中に立つ人のプレッシャーがわかり、誰にでも愛される。


「真ん中に立てないから」と腐ってる人にも優しくできる人で時々叱咤し。


真ん中の孤独と怖さを知っているから、真ん中に立つ立場の人の気持ちがわかる人。



きっと、夢乃聖夏は誰よりも強く、優しく、そして暖かい。




その長い足で、一歩先へ、あなたは飛び出す。



期待を倍返しで返してくれる人、夢乃聖夏。



銭形警部はスターだった。



きっと、私は1月の宝塚の客席でそう思うだろう。


光り輝き、舞台中を駆け回る夢乃聖夏を見ながら。